外反母趾で悩んでいる女性は多いのではないでしょうか?
外反母趾は10人に1人の割合でみられる非常に多い病気です。
今回は外反母趾の原因や予防方法、痛みの軽減方法についてご紹介します。
外反母趾に有効な筋肉をしっかりとトレーニングすることで外反母趾の予防や痛みの軽減になります。
外反母趾とは?
外反母趾は女性の10人に1人の割合で発症し、非常に多い病気の一つです。
外反母趾は親指がくの字のように内側の曲がってしまう状態で、痛みが生じることがあり歩くことが困難にあるケースもあります。
一度、指が変形してしまうと自然に元に戻ることはないため、外反母趾にならないように予防することや悪化しない対応を取ることがとても重要です。
外反母趾の原因はさまざまですが、特に多いのがハイヒールやパンプスによる履物です。
ハイヒールやパンプスを履くことで指先が締め付けられ、その状態で長年歩き続けることで徐々に変形してしまいます。
この他には関節リウマチなども外反母趾の原因となります。
外反母趾の診断とは
外反母趾の診断はレントゲン画像で行います。
レントゲン画像で第一中足骨(だいいちちゅうそくこつ)と親指(母趾:ぼし)の角度を測ります。
この角度を外反母趾角(がいはんぼしかく)といいます。
まず第一中足骨と母趾(第1基節骨)をイラストで確認しましょう。
この二つの骨から線を引き交わったところの角度を測ります。
この角度が外反母趾角です。
引用1) a:正常 b:外反母趾
〜母趾外反角〜
【正常】10〜15°
【外反母趾】20°以上で外反母趾
〜重症度〜
【軽度】20〜30°
【中等度】30〜40°
【重度】40°以上
このように母趾の曲がり角度が大きいと外反母趾の診断がつきます。
母趾外反角については、こちらで詳しくご紹介しているため、こちらもご参考にしてください。
外反母趾の原因とは?
外反母趾の原因で多いのが、ハイヒールやパンプスによる履物です。
足の形に合っていない履物を履き続けることで足の指が曲がった状態で矯正され、その結果外反母趾になってしまいます。
足の形は大きく3つにわけられます。
足の形とは
足の形には、エジプト型、ギリシャ型、スクエア型の3つがあります。
エジプト型は母趾が一番長く、小指に向かって徐々に短くなっていくタイプです。
日本人の約8割がエジプト型になります。
ギリシャ型は第2趾(人差し指)が最も長く、親指や中指に向かって徐々に短くなっていくタイプです。
日本人の約2割弱がギリシャ型になります。
スクエア型は5本の指の長さが同じくらいのタイプになります。
日本人の約数%がスクエア型になります。
ハイヒールは日本人に合わない
日本人の約8割はエジプト型です。
エジプト型の人が、つま先の狭いハイヒールを履いたらどうなるでしょうか。
外反母趾のように親指がくの字の方向へ締め付けられることがわかると思います。
このようにハイヒールは日本人の足型に合っていない履物でありながらも、多くの女性はハイヒールを履いているため外反母趾になってしまうケースが多いのです。
外反母趾にならないためにも、足に合った靴を選ぶことがとても大切です。
外反母趾にならないための靴の選び方については、こちらで詳しくご紹介しています。
ご興味がある方はこちらをご参考にしてくださ。
外反母趾の治療とは?
外反母趾の治療には保存療法と手術療法があります。
まずは保存療法が選択されます。
保存療法とは
保存療法についてご紹介します。
保存療法では薬物療法や靴の見直しの他に、ストレッチやマッサージ、筋力トレーニングを行います。
母趾外転筋のトレーニング方法とは
外反母趾の予防で重要な筋肉として、母趾外転筋があります。
母趾外転筋は母趾がくの字の方向へ変形するのを抑える役割があります。
母趾外転筋は足の裏にある小さな筋肉です。
〜母趾外転筋 解剖〜
【起始】踵骨隆起内側、屈筋支帯、足底腱膜、舟状骨隆起
【付着】母趾基節骨底、第1中足骨頭種子骨
【神経】内側足底神経(L5~S1)
【作用】母趾の外転と屈曲
母趾外転筋は、足の指をパーに開くことで鍛えることができます。
外反母趾の方は特に足の指をパーに開くことが苦手であることが多いため、行ってみましょう。
母趾外転筋の詳しいトレーニング方法についてはこちらでご紹介しています。
ご興味がある方はご参考にしてください。
母趾内転筋のストレッチとは
母趾外転筋のトレーニングの他に、母趾内転筋のストレッチも重要です。
母趾内転筋は、足の指をくの字の方向へ引っ張る筋肉です。
そのため母趾内筋ををしっかりとマッサージやストレッチしておくことが重要です。
母趾内転筋には2つあり、母趾内転筋の斜頭(しゃとう)と横頭(横頭)があります。
〜母趾内転筋の解剖〜
【起始】
斜頭:第2-4中足骨,立方骨,外側楔状骨
横頭:第3-5中足趾節関節の関節包、深横中足靱帯
【付着】第1基節骨の底
【神経】外側足底神経
【作用】母趾の底屈・内転
この筋肉をイメージして、足の裏からグリグリをマッサージしたり、足の指を広げるようにストレッチすることが重要です。
サポーターやパッドでの予防や治療
外反母趾の痛みに対して、パッドを用いて痛みを緩和させる方法があります。
パッドを貼ることで、靴のあたりやタコの部分の痛みが軽減することができます。
市販でも外反母趾用のパッドを購入することができます。
見たことがある人も多いのではないでしょうか。
なかなか病院に行けない方や痛みが強い方は役に立つかもしれませんね。
手術療法についてご紹介します。
手術療法として、変形した指を修正する方法があります。
手術方法は様々ですが、変形した骨を一度切り、骨の位置を修正して固定する手術です。
引用2)
手術方法は、外反母趾の重症度にや主治医の方針によって変わってきます。
手術の傷口はそれほど大きくなく、母趾の付け根より上あたりに5㎝程度できます。
手術後はワイヤーやボルトで固定をするため、しばらくは足の指を動かすことは禁止となりまます。
足の指は手術をしていますが、かかと部分は手術をしていないため、手術後はかかと歩行は行うことができます。
手術後はレントゲンで骨のくっつき状態を見ながら、徐々につま先へ体重をかける練習をします。
手術後4週間程度で指に入れたワイヤーを抜去し、徐々に足の指を動かしていきます。
手術後はかかと歩行ですが、手術後4週間程度で足の裏全体に体重をかけることが可能となり、手術後6週間程度でつま先へ体重をかけることが可能となります。
外反母趾の手術によって、足の指の変形は修正されますが、外反母趾を再発する恐れは十分にあります。
そのため、手術後も外反母趾が再発しないように外反母趾の予防を継続して行うことが大切です。
靴に関してはハイヒールやパンプスのような先が狭いものは避け、足の指が締め付けられないものを選択しましょう。
ハイヒールを履きたい方の対応方法とは
女性は仕事やファッションとしてハイヒールを履きたい・履かざる負えない方がいると思います。
その場合は、ハイヒールのヒールの高さに注意する必要があります。
ヒールの高さが高くなれば高くなるほど、つま先に体重がかかり、土踏まずなどの足のアーチが潰れてしまいます。
それにより外反母趾を助長する恐れが十分にあります。
ハイヒールを履く場合は極力ヒールが低いものを選択し、つま先が狭くないものを選びましょう。
ヒールの高さは5cmを超えると足趾への負担が上がるため、それより低いヒールにすることをおすすめします。
履物の見直しに加え、母趾外転筋のトレーニングや母趾内転筋のストレッチも合わせて行っておくと、さらによいでしょう。
まとめ
外反母趾は女性がかかえる大きな問題の一つです。
外反母趾の予防方法は母趾外転筋のトレーニング、母趾内転筋のストレッチ、履物の見直しが重要です。
外反母趾の治療には、保存療法や手術療法がありますが、まずは保存療法で改善を目指します。
女性はハイヒールを履く機会が多く、誰でも外反母趾になる可能性は十分にあるため、今のうちからしっかりと予防をしておくこちをおすすめします。
引用・参考文献
1)工藤慎太郎:運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学.医学書院.188-199.2012
2)嶋洋明ら:外反母趾.関節外科.32(1).36-44, 2013.
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