足にも腱鞘炎があることを知っていますか?
先日、有名なフィギュアスケートの選手が足の腱鞘炎になりましたね。
今回はそんな足の腱鞘炎について、原因や症状、自分でできる治療法についてご紹介します。
腱鞘炎は誰しもなる可能性がある傷害です。
ですが、予防をすれば腱鞘炎になるのを防ぐこともできます。
まずは腱鞘炎がどんなものなのかご紹介していきます。
腱鞘炎とは?
そもそも腱鞘とはなんなのでしょうか。
腱鞘とは腱が通るトンネルのようなものです。
筋肉には腱というものがあります。
みなさんがよくいう『筋肉』は筋腹(きんぷく)という部分になります。
一般的に力こぶを筋肉と呼びますが、この膨らんでいる部分は正式には筋肉の中の筋腹にあたります。
この筋腹と骨をつなぐ部分が腱になります。
そのため筋肉は筋腹や腱の総称ということになります。
わかりやすいアキレス腱でみてみましょう。
ふくらはぎの筋肉は腓腹筋(ひふくきん)といいます。
赤い部分が腓腹筋で、かかととつなぐ黄色い部分がアキレス腱になります。
一部の腱は腱鞘(けんしょう)というトンネルの中を通るものがあります。
ちなみにアキレス腱には腱鞘はありません。
腱鞘について詳しくみていきましょう。
引用1)
腱鞘は線維鞘(せんいしょう)と滑膜鞘(かつまくしょう)の2層構造になっています。
この2層構造の腱鞘がトンネルを作り、この中を腱が通っています。
腱が腱鞘の中を通ることで浮き上がってくるのを防ぎます。
この腱鞘と腱の間に炎症が起こることを腱鞘炎といいます。
腱鞘炎が起こると痛みが出たり、引っ掛かりといった症状がみられます。
足の腱鞘炎とは?
腱鞘炎はオーバーユース(使いすぎ)により起こります。
腱鞘炎と聞いて手首を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。
手首の場合はパソコン仕事をされている方や出産後の女性、日常手を多く使うに人に多くみられます。
実は足にも腱鞘炎が起こります。
足の腱鞘炎は特にスポーツ選手に多く、例えばフィギュアスケート選手やランナーでみられます。
オーバーユースが原因で腱鞘炎になることもありますが、それ以外にスケート靴やシューズをきつく締めた状態で行うことも原因の一つです。
中にはスポーツを行っていなくても腱鞘炎になっている方はいるのではないでしょうか?
そのような場合は一度”靴”を確認してみましょう。
もしかしたら靴がきつかったりすることがあります。
それでは足の腱鞘をみていきましょう。
足にはいくつもの腱鞘があります。
イラストでみてみましょう。
緑色っぽい部分が腱鞘になります。
この部分がトンネルのようになっており、中を腱が通っています。
《正面》
腱鞘の中を通る腱:前脛骨筋腱(ぜんけいこつ筋)、長趾伸筋腱(ちょうししん筋)、長母趾伸筋腱(ちょうぼししん筋)
《内側》
腱鞘の中を通る腱:後脛骨筋腱(こうけいこつ筋)、長母趾屈筋腱(ちょうぼしくっ筋)、長指屈筋腱(ちょうしくっ筋)
《外側》
腱鞘の中を通る腱:長腓骨筋腱(ちょうひこつ筋)、短腓骨筋腱(たんひこつ筋)
これらの腱の部分に痛みがある場合は腱鞘炎の可能性があります。
腱鞘炎の治療方法とは?
腱鞘炎は基本的には保存療法になります。
湿布が処方される場合もあれば、ステロイド注射を行う場合もあります。
腱鞘炎の原因のほとんどがオーバーユース(使いすぎ)のため、患部の安静や炎症管理が重要になります。
まずはその炎症症状を抑えることが重要です。
炎症している部分にはアイシングを行いましょう。
アイシングの実施時間は冷やすのを20分、休憩を40分を1サークルとし繰り返します。
特に運動後は炎症が悪化するためしっかりと行いましょう。
連続で長い時間冷やした方が良いと思う方もいらっしゃると思いますが、凍傷になる恐れがあるため長く行わないようにすることがポイントです。
安静や炎症管理の他にはストレッチやマッサージも合わせてしっかりと行いましょう。
ストレッチやマッサージの方法をご紹介します。
足首の正面の筋肉は主に足首を上げる働きをするため、下方向にストレッチをしましょう。
後側の長母趾屈筋や長趾屈筋は指を曲げる働きをするため、指を上方向にストレッチをしましょう。
内側の後脛骨筋はふくらはぎの奥の方法から内くるぶしの後を通るため、この部分のマッサージを行いましょう。
外側の長・短腓骨筋はこの部分をマッサージしましょう。
ストレッチやマッサージは腱鞘炎の予防にもなるため、スポーツを行う前に入念にやることが大切です。
その他の予防としてシューズ等のきつさの調整を行いましょう。
まとめ
腱鞘炎には手だけでなく足の腱鞘炎もあります。
主な原因としてオーバーユース(使いすぎ)によるものがほとんどです。
腱鞘炎になった際の対処方法として、まずは安静と炎症症状の管理が重要になります。
これに加えしっかりとストレッチやマッサージを行いましょう。
腱鞘炎はしっかりと予防をしオーバーユースに注意をすれば防ぐことができます。
みなさんも腱鞘炎にならないように日々しっかりとストレッチやマッサージを行っていきましょう。
参考・引用文献
1)工藤慎太郎:運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学.医学書院.188-199.2012
2)坂井建雄ら:プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系 第2版.医学書院.2011
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