ジョーンズ骨折は足の指の骨折で、スポーツをしている方は必ず知っておくべき骨折です。
特にサッカー、バスケ、ラグビーをされている方は要注意です。
今回はジョーンズ骨折の症状や原因、手術後のリハビリ、予防方法についてご紹介します。
ジョーンズ骨折とは?!
ジョーンズ骨折という骨折を聞いたことはありますか?
何年か前にサッカー日本代表選手がジョーンズ骨折になり有名になった骨折です。
ジョーンズ骨折は第5中足骨基部疲労骨折のことを指します。
わかりやすく言えば、足の小指の疲労骨折です。
この部分の骨折になります。
ジョーンズ骨折は高校生から大学生で多く、特にサッカーやバスケ、ラグビーで起こりやすい疲労骨折です。
競技中に起こるケースとして、ジャンプやステップ、切り返し動作を繰り返し行うことで負担が蓄積され疲労骨折します。
ジョーンズ骨折の特徴として骨がつくのが遅れたり(遷延治癒)、骨がくっつかず治癒が止まってしまい動いてしまう状態(偽関節)になる可能性が高く、難治性になりやすい骨折です。
遷延治癒(せんえんちゆ)や偽関節(ぎかんせつ)になってしまうと、競技復帰が大幅に遅れてしまいます。
そのため早期にスポーツ復帰を希望する場合は手術を行うケースが多いです。
ジョーンズ骨折の原因とは?
ジョーンズ骨折は外傷によって起こることは少ないです。
では、何が原因で起こるのでしょうか?
長時間にわたりジャンプやステップを繰り返すことで疲労が蓄積されます。
この疲労の蓄積が原因となり第5中足骨に疲労骨折が起こります。
ジョーンズ骨折が起こる前の症状として、小指に痛みがでます。
小指に痛みが出た状態でプレーを続けていると疲労が蓄積され、疲労骨折してしまいます。
しかし中には小指に痛みが出ず骨折するケースもあります。
ジョーンズ骨折は直接骨折部分に体重がかかって起こる骨折ではありません。
小指(第5趾)の先の部分が支点となることで第5趾にしなるようなストレスが加わり、それが蓄積されることで第5趾の付け根(基部)に骨折が起こります。
引用1)
ステップでは特にクロスステップで第5趾の先に負担がかかりやすいです。
スポーツの中でも特にサッカーでの負担が大きく、アウトサイドキック以外のキック動作で軸足の第5趾の先に負担がかかりやすいです。
ジョーンズ骨折の手術とは?
ジョーンズ骨折の一般的な手術は骨折した第5趾の骨にスクリューを入れ固定をします。
このようにスクリューを入れます。
この手術はスクリューで固定するだけであるため、傷口が小さく出血も少ないです。
手術自体は難易度は高くないですが、その後の回復過程で順調に行かないことがあり医者を悩ませる骨折の一つです。
先ほどご紹介したようにジョーンズ骨折は遷延治癒と偽関節になるリスクがあります。
手術がうまくいったとしてもその後の骨のくっつきが悪かった場合は、再手術になる可能性もあります。
ジョーンズ骨折の手術療法や保存療法の比較についてはこちらでご紹介しています。
ご興味がある方はごらんください。
手術後のリハビリとは?
リハビリの進め方は各病院や主治医の考え方により違います。
例として2つのリハビリの進め方についてご紹介します。
基本的にリハビリは手術翌日より開始となります。
<例1>
手術後1〜2週程度はシーネ固定となり体重をかけてはいけません。
抜糸後にシーネ固定が解除され、関節を動かしたり体重をかけることが許可になります。
この時点ではつま先への荷重は禁止であり、かかとのみの荷重となります。
2ヶ月あたりでレントゲン上で骨のくっつきが確認できてくれば、つま先への荷重は可能となります。
スポーツ復帰は約3ヶ月程度です。
<例2>
手術翌日よりかかとのみの荷重が可能となります。
その後、1週間程度でつま先へ徐々に全体重をかけることが可能となります。
6週間あたりでジョギングが可能となります。
スポーツ復帰は約3ヶ月程度です。
どちらもスポーツ復帰は3ヶ月程度ですが、手術後のリハビリの進め方は主治医の考え方によって違ってきます。
今後ジョーンズ骨折の手術を予定されている方がいらっしゃれば、主治医やリハビリ担当者にリハビリの進め方について確認を取ることをおすすめします。
ある程度リハビリの予定がわかれば、それに合わせ目標や意識も違ってくると思います。
どちらにも共通していえることは、レントゲンをみて遷延治癒や偽関節に注意しながら徐々に荷重量や運動負荷量を増やしていくということです。
ジョーンズ骨折のリハビリでもう一つ重要なことがあります。
それは骨折部への負担を減らすということです。
疲労骨折は外傷によるものでなく、負担がかかり続けることで起こります。
手術で骨折したところは修復されても、骨折部への負担が減ったわけではありません。
そのため骨折部へ負担を減らすように患部以外からのリハビリも重要になります。
ジョーンズ骨折をする人の特徴として荷重がつま先の外側にかかりやすいことです。
これにより第5趾に負担が蓄積され骨折にいたります。
この負担を減らさないとスポーツ復帰後に再骨折する可能性があります。
私の経験上、つま先の外側に体重がかかりやすい人には足首が硬い人が多いです。
足首の中でも距骨下関節(きょこつか関節)と距腿関節(きょたい関節)いう関節が硬い人は注意が必要です。
距骨下関節はこの部分で足首を左右にひねる関節です。
イラストでみてみましょう。
距骨下関節の左右の動きを回内(かいない)・回外(かいがい)といいます。
引用2)
回内の動きが硬いと足を地面についた時に足の内側がつきづらく、外側に体重がかかりやすい傾向になります。
この外側に体重がかかりやすい状態が続くことで、第5趾に負担がかかり疲労骨折してしまいます。
もう一つ重要な関節が距腿関節(きょたい関節)です。
距腿関節は足首を上下に動かす働きをします。
引用2)
特に足首を上げる背屈(はいくつ)という動きが重要になります。
足首の動きは距骨下関節や距腿関節の両方の動きが合わさり起こります。
足首を上にあげる動きの時の正常な動きは、距腿関節で背屈・距骨下関節で回内が起こります。
逆に足首を下にさげる時は、距腿関節で底屈(ていくつ)・距骨下関節で回外が起こります。
引用3)
この動きが正常な動きになります。
距腿関節や距骨下関節の詳しい構造や動き方については、以前にイラスト等を用いてご紹介しています。
こちらでわかりやすくご紹介しているので、ご興味がある方はご覧ください。
この足首の動きをスポーツ動作と合わせて考えてみましょう。
サッカーやラグビー、バスケでは切り返し動作が頻繁に行われる競技です。
頻繁に行われるということは、切り返し動作によって負担がかかりやすいということです。
切り返し動作時は距腿関節で背屈・距骨下関節で回内の状態になります。
この足首の状態になれば内側に体重が乗り、しっかりと母指球で踏ん張ることができます。
しかし距腿関節の背屈や距骨関節の回内の動きが硬いと、母指球で踏ん張ることができず小指側(第5趾)に体重が流れてしまいます。
小指側に体重が流れてしまうことで第5趾に負担がかかり疲労骨折してしまいます。
そのため距腿関節の背屈と距骨下関節の回内の動きは非常に重要になります。
ジョーンズ骨折は第5趾の疲労骨折ですが、このように原因は第5趾ではなく他の場所にあります。
ジョーンズ骨折の予防や手術後のリハビリは第5趾だけに注意をするのではなく、第5趾に負担がかからないように他の関節などの状態にも気をつけなければなりません。
ジョーンズ骨折後のリハビリでの要注意点についてはこちらでご紹介しています。
ご興味があればご覧ください。
→ジョーンズ骨折の復帰時期やリハビリ時の要注意点についてはこちら。
ジョーンズ骨折の予防方法とは?
ジョーンズ骨折を予防するためには、体重が外に流れないようにカラダ全体の安定性が必要になります。
体幹や股関節等の筋力upは必須になります。
今回は足首での予防についてご紹介します。
先ほどご説明したように、足首では距腿関節の背屈と距骨下関節の回内の動きが重要です。
そのためにはストレッチを行いましょう。
ふくらはぎの筋肉が固くなると背屈がいかなくなるため、このようにストレッチを行いましょう。
通称アキレス腱伸ばしと言われますが、しっかりとふくらはぎの筋肉も伸びるので行いましょう。
次にかかとを持ち左右に動かしましょう。
これに合わせてふくらはぎの内側の部分もしっかりとマッサージしましょう。
ふくらはぎよりも奥の方にある筋肉も重要なため、マッサージは奥の方までしっかりと行いましょう。
この部分の筋肉が固くなると距骨下関節が回外します。
手術後に再発予防で足首を柔らかくすることは重要ですが、つま先に体重をかけられない期間があるため、ふくらはぎのストレッチをする時は主治医に確認をしてから行って下さい。
まとめ
ジョーンズ骨折は第5中足骨基部疲労骨折のことです。
特にサッカーやラグビー、バスケをしている高校生や大学生で多い傷害です。
ジョーンズ骨折は疲労骨折であり、第5趾に負担がかかり続けることで骨折します。
ジョーンズ骨折の特徴として遷延治癒や偽関節になる可能性が高く、難治性になりやすい骨折です。
治療は手術になるケースが多いです。
ジョーンズ骨折の予防やリハビリ重要なのが足首を柔らかくすることです。
距腿関節の背屈と距骨下関節の回内の動きが重要なため、この動きが柔らかくなるようにストレッチ等を行います。
ジョーンズ骨折では難治性になる可能性があるため、日頃からしっかりと予防し疲労骨折しないように気をつけましょう!
参考・引用文献
1)園部俊晴ら:改訂版 スポーツ外傷・傷害に対する術後のリハビリテーション.運動と医学の出版社.2013
2)入谷誠:入谷式足底板 ~基礎編~(DVD付) (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ).運動と医学の出版社.2011
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