股関節の関節唇(かんせつしん)という部分を知っていますか。
聞いたことがない方がほとんどだと思います。
関節唇は股関節を安定させるために重要な組織です。
今回は関節唇の働きや構造についてご紹介します
関節唇とは?
関節唇は股関節や肩関節にある重要な組織です。
股関節や肩関節は臼蓋が浅く不安定のため、関節唇があることで安定します。
ではイラストで見てみましょう。
このように関節唇は馬蹄形をしており、骨と直接つながっています。
関節唇の形は前が広く(6.3mm)、上側が厚い(5.5mm)形をしています。
股関節は臼蓋(寛骨臼)と大腿骨頭から構成されています。
股関節は動く範囲は非常に大きいですが、臼蓋が浅いため脱臼をする恐れがあります。
浅い臼蓋を広くし、臼蓋と大腿骨頭を安定させる役割をするのが関節唇です。
関節唇は臼蓋とくっついており、大腿骨頭との接地面積を広げるとても重要な組織です。
それでは関節唇について詳しくご紹介していきます。
関節唇の血行とは?
関節唇の血行は上殿動脈と下殿動脈から供給されています。
イラストでみてみましょう。
後ろからのイラストになります。
関節唇は基本的に血行が乏しい部位でもあります。
関節唇の神経とは?
関節唇は大腿神経と閉鎖神経により支配されています。
また痛みを感知する自由神経終末やパチニ小体などが存在します。
イラストでみてみましょう。
痛みを感知する自由神経終末があるため、関節唇が損傷すると痛みが出現します。
関節唇の機能とは?
関節唇は関節軟骨面積を約28%、臼蓋体積を約30%増加させます。
関節唇の機能としてsealing機能とsuction機能があります。
関節唇が関節内を密閉することをsealing機能といいます。
これにより関節内を陰圧に保つことができ、圧迫力を臼蓋の関節軟骨に均等に分散できることができます。
そのため股関節の適合が良くなり安定します。
また密接することで滑液を効率良く軟骨が栄養できます。
引っ張り力に対して抵抗することをsuction機能といいます。
これにより関節を安定化させます。
関節唇による影響とは?
股関節唇損傷の多くは臼蓋形成不全、股関節インピンジメント(FAI)などの骨形態異常を原因として生じます。
インピンジメトとは挟まったり、引っかかったりすることです。
そのため明らかな外傷を伴わないことが多いです。
関節唇に断裂が起こると股関節の接触ストレスを92%増やします。
これにより変形性関節症の進行の原因になります。
変形性股関節症とは慢性進行性の疾患で股関節の臼蓋や大腿骨頭が変形し、 歩行時に痛みが出たり関節の動きに制限で出る病気です。
変形性股関節症についてはこちらでご紹介しています。
ご興味があればご覧ください。
まとめ
関節唇は股関節や肩関節にある重要な組織です。
股関節や肩関節は臼蓋が浅く不安定のため、関節唇があることで安定します。
関節唇があることで関節軟骨面積を約28%、臼蓋体積を約30%増加させます。
関節唇に断裂が起こると股関節の接触ストレスを92%増やします。
これにより変形性関節症の進行の原因にもつながっていきます。
今回は関節唇についてご紹介してきました。
関節唇は股関節を構造的に安定させている重要な組織です。
この部分が損傷すると股関節は不安定になってしまします。
股関節を構造を知る上で関節唇は重要なので解剖をおさえておきましょう!
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