入院中に採血を何度も採ったことがあるのではないでしょうか?
手術後の炎症症状や貧血を把握するために採血を行っています。
今回は炎症や貧血の血液検査について、患者さんが炎症症状を把握しておかなければいけない理由についてご紹介します!
手術後になぜ採血をするの?
手術後、数日間は採血をし血液検査を行います。
なんのために血液検査を行っているのでしょうか?
一つは手術をしたことに体の炎症反応が起こるため、それをみています。
もう一つは、手術をした際に出血が起こるため、貧血になっていないかどうかを確認したりしています。
この他の項目もいろいろ見ていますが、整形外科疾患の手術後ではこと2つを必ず確認します。
では炎症症状と貧血の血液検査について簡単にご紹介します。
炎症症状の値とは?
手術後は、炎症値の項目としてCRPや白血球(WBC)を確認しています。
CRPとは?
まずCRPについてご紹介します。
正常値は、CRPは0.6mg/dl以下です。
手術により体に炎症や組織破壊が起こることで上昇します。
通常、12〜24時間以内に血中から検出され、炎症が治癒に向かうにつて軽減してきます。
そのため急性期ではとても重要な検査の一つです。
白血球数(WBC)とは?
次に白血球数(WBC)についてご紹介します。
これもCRPと同様に炎症所見をみる値です。
正常値は、成人で4500〜9000個/mm3、6〜14歳では6000〜11000個/mm3です。
白血球数は特に体に異変がなくても、激しい運動やストレス等で変動するため、CRPで炎症症状をみることが多いです。
手術後の炎症症状は、この血液検査と合わせて実際の体の反応も確認します。
体からわかる炎症症状は、腫れ、熱感、発赤、疼痛、機能障害の5つです。
手術した部分の炎症症状を把握することもとても重要です。
以前、炎症症状の内容や対応方法についてご紹介しているので、興味がある方はこちらをご覧ください。→炎症症状の解説はこちらです。
整形外科の手術後の場合、特に炎症症状が重要なのでしっかりと炎症の管理をしていきましょう。
続いて、貧血についてご紹介します。
手術後の貧血とは?
整形外科の手術の場合、手術後に一時的に貧血になることがあります。
これは手術をしている過程で出血によるものが原因です。
貧血の値として、ヘモグロビン(Hb)を確認します。
ヘモグロビンは、赤血球に含まれる血色素成分で、とくに全身に酸素を運搬する重要な役割をします。
ヘモグロビンの正常値として、男性13〜17g/dl、女性12〜15g/dlです。
施設によって基準は若干異なりますが、この値が6g/dlを下回ると輸血をします。
私の経験上、この値をみるのとヘモグロビンが低くて輸血をするタイミングとして、術後1〜3日以内が多いです。
ヘモグロビンに関して注意するのは術後すぐの時期のため、患者さんは特に気にしなくても大丈夫です。
患者さんは炎症症状に注意をしてください!
特に患者さんに気にしてもらいたいのは貧血より炎症症状です。
手術後しばらくしてもCRPの値が高く炎症症状が続いていると、手術部に感染を起こしていることもあります。
感染をしていると、最悪の場合再手術になります。
そのため整形外科疾患の手術後は特に炎症症状を把握しておくことが最も重要になります。
炎症症状に対して患者さんご自身で日々の変化を把握ことがとても重要です!
炎症症状の対応方法とは?
炎症症状に対してできることは、RICE療法でしっかりと炎症管理を行うことです。
また、患部を清潔に保つことです。
RICE療法は、安静・アイシング・圧迫・挙上のことです。
炎症管理の場合、この4つを行うことが重要です。
RICE療法についての詳細はこちらでご紹介しているので、ご覧ください。
まとめ
今回は手術後の整形外科疾患で特に重要な検査値として炎症値ではCRPやWBC、貧血値ではヘモグロビン値についてご紹介してきました。
CRPの正常値は0.6mg/dl以下、WBCの正常値は4500〜9000個/mm3です。
また、ヘモグロビンの正常値は男性13〜17g/dl、女性12〜15g/dlです。
なかでもCRP値はとても重要です。
この値が高いと炎症が続いていることを示し、なかなか改善してこない場合は患部が感染している可能性があり、最悪の場合再手術になることもあります。
炎症に関してCRPを把握するのと共に、患者さんご自身で体の炎症症状である腫れ、熱感、発赤、疼痛、機能障害の5つを日々把握しておくことがとても重要になります。
炎症症状については以前にご紹介していますので、こちらをご覧ください。
手術後は炎症管理を徹底的に行い、リハビリがスムーズに進むようにしていきましょう!
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