外反母趾の予防は母趾外転筋訓練が特に重要です。
母趾外転筋は足部の横アーチにも関与する筋肉ですが、間違ったエクササイズの方法で行うと効果がありません。
今回は母趾外転筋の解剖学や効果的なトレーニングの方法をご紹介します。
母趾外転筋とは
足部には内在筋(ないざいきん)と外在筋(がいざいきん)の2種類あります。
母趾外転筋は内在筋に含まれます。
まずは内在筋と外在筋を理解しましょう。
内在筋とは
内在筋は小さい筋肉ですが、足部のアーチ形成などに関与する重要な筋肉です。
〜内在筋〜
母趾内転筋
母趾外転筋
短母趾屈筋
小趾外転筋
足底腱膜 など
外在筋とは
外在筋(がいざいきん)は足関節の動きに関与する大きな筋肉で、足部の安定性に関与します。
〜外在筋〜
前脛骨筋
下腿三頭筋
後脛骨筋
腓骨筋
長母趾屈筋 など
母趾外転筋は内在筋の一つで、特に内側縦アーチの形成や外反母趾の予防でとても重要となります。
母趾外転筋の解剖学とは
母趾外転筋は足の裏の外側にあります。
〜母趾外転筋 解剖〜
【起始】踵骨隆起内側、屈筋支帯、足底腱膜、舟状骨隆起
【付着】母趾基節骨底、第1中足骨頭種子骨
【神経】内側足底神経(L5~S1)
【作用】母趾の外転と屈曲
抑えておくべきポイントは、母趾外転筋の作用として外転の働きに加え屈曲する働きがあることです。
母趾外転筋のエクササイズの方法とは
母趾外転筋のエクササイズは、足の指を“パー”のように開くことで、誰でも簡単に行うことができます。
注意点として、足の指を開いた際に指が上にあがらないように(母趾の伸展が過剰に起こらないように)することです。
母趾外転筋の作用は外転と屈曲であるため、伸展運動が加わってしまうと母趾外転筋ではない筋肉が働いてしまいます。
母趾外転筋を効果的にエクササイズするには、足趾の伸展運動が極力起こらないように注意しながらエクササイズすることがポイントです。
指を“パー”にすることができても、足趾の伸展を抑えて行うと“パー”ができなくなってしまう方もいるため確認しましょう。
外反母趾は筋肉が変化する
外反母趾は母趾が“くの字”に変形してしまう病態で、女性に多く見られることが特徴です。
母趾がくの字になるということは、骨が変形しているというこちです。
筋肉は骨と骨についています。
そのため骨の位置が変わると筋肉の位置も変わり、筋肉の働きも変わってしまうことがあります。
外反母趾では、第1中足骨では内反、第1基節骨では外反・回内が起こります。
このように骨・関節が変形することで、骨にくっついている筋肉も張ったり、緩んだりします。
母趾が変形することで、母趾についている母趾外転筋の筋肉の張りが変わります。
そのため母趾外転筋のエクササイズで指をパーに広げようとしても、筋肉が緩んでしまっているため、思うように力が入らないことがあります。
その場合は手で動きをサポートしながらエクササイズを行い、指を広げる練習からおこないましょう。
まとめ
外反母趾の予防やアーチ形成には、母趾外転筋がとても重要です。
母趾外転筋は足の指をパーにすることで簡単にエクササイズすることができます。
誰でも簡単に行えるエクササイズなので、みなさんも行ってみてくださいね。