骨粗鬆症は骨がスカスカになってしまう病気で、特に高齢の女性に多くみられます。
骨粗鬆症の方は転倒した際に骨折する可能性が非常に高く、その後も再骨折を繰り返してしまいます。
今回は、骨粗鬆症の特徴や病態、簡単にできる調べ方、治療方法、骨折との関係についてご紹介します。
みなさんは2025年問題をご存じですか?
今から9年後の2025年には、第1次ベビーブームで産まれた団塊の世代がすべて75歳以上となり、超高齢者社会がどんどん加速する一方です。
高齢者が増えている今日、骨粗鬆症の割合も増え、わが国の骨粗鬆症患者は焼く約1280万人と推測されています。
また骨粗鬆症に多い4大骨折(大腿骨頸部骨折,脊椎圧迫骨折,上腕骨近位部骨折,橈骨遠位部骨折)をしてしまう高齢者も増えてきているのが現状です。
⇒脊椎圧迫骨折の詳しい症状や原因、予防方法などについてはこちら。
しかし骨粗鬆症の治療率は低く15%程度にとどまっているのが現状です。
今後さらに超高齢化社会が加速し、日本の医療はもっと骨粗鬆症について考えていかなくてはなりません。
それでは骨粗鬆症についてご紹介していきます。
骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症の病態とは?
骨粗鬆症とは骨がスカスカになってしまい、骨自体がもろくなってしまう病気です。
骨粗鬆症といえば ”『骨密度』が低下すること” と思っている方が多いのではないでしょうか。
骨粗鬆症は骨密度(骨量:こつりょう)が低下する病気ですが、最近の研究では骨密度の他に『骨質(こつしつ)』という部分が骨粗鬆症に大きく関わっているとされています。
骨質が関わっている理由として、骨密度(骨量)がある程度あるにもかかわらず、大腿骨頸部骨折をしてしまう方が少なくないからです。
骨質とは骨を作っている基部の部分であり、海綿質(かいめんしつ)と緻密質(ちみつしつ)からできています。
このことからもわかるように、骨の強度=骨密度ではありません。
わかりやすく式にすると、骨強度=骨密度(骨量)+骨質 となります。
骨粗鬆症の現状や原因とは?
現在の骨粗鬆症の患者数は約1280万人、うち男性が300万人、女性が980万人と女性の方が3倍以上多くなっています。
女性に多い理由として、閉経後に女性ホルモンのバランスが崩れるからです。
骨密度(骨量)は20代で最大となりますが、女性は閉経後のホルモンバランスの崩れによって、骨量が大きく減少してしまいます。
骨は一見ずっと同じままの様に感じますが、実は常に新しい骨に作り変えられています。
骨が壊れることを『骨吸収(こつきゅうしゅう)』、骨が作られることを『骨形成:こつけいせい』といいます。
骨は骨吸収と骨形成を繰り返し4〜6ヶ月を1サイクルとし作り変えられますが、このバランスが崩れることで骨粗鬆症になってしまいます。
骨粗鬆症による脆弱性骨折とは?
ここまでで分かるように骨粗鬆症になると骨がもろくなるため、ちょっと転んだだけでも骨折するリスクが高まります。
立った高さからの転倒に相当する『軽微な外力』で発生する骨折を脆弱性骨折(ぜいじゃくせい骨折)とよび、骨粗鬆症が原因で発生します。
脆弱性骨折を一度起こすと、再骨折するリスクは2〜4倍とかなり高くなるため、注意をしなければなりません。
それでは、次に骨粗鬆症と骨折の関係についてご説明します。
骨粗鬆症と骨折の関係とは?
WHO(世界保健機関)による骨粗鬆症の定義では以下のようにされています。
骨粗鬆症の定義を「骨強度の低下を特徴をし,骨折のリスクが増大した骨格疾患」
このように骨粗鬆症と骨折は深く関係しており、骨折をしないためにも骨粗鬆症に対してしっかりと向き合わなければなりません。
大腿骨頸部骨折は高齢者に多い骨折の一つですが、この骨折の50%は脆弱性骨折の既往がある人で発生します。
脆弱性骨折の既往がある方とない方を比較すると、既往歴がある方の方が頸部骨折を発症する確率が約5.3倍も高くなります。
このように骨粗鬆症は骨折と深く関わっていますが、実は事前に骨折を防ぐこともできます。
大腿骨頸部骨折をした方の中には、反対側も同様に骨折をしてしまうケースがあります。
この大腿骨頸部骨折をした方に薬物治療を行ったところ、反対側の骨折が起こる確率が約7割減ったという報告があります。
一度骨折をすると何度も繰り返す方もいらっしゃいますが、しっかりと治療を行うことで骨折の連鎖を防ぐことができます。
骨粗鬆症の治療とは?
現在の骨粗鬆症の治療でエビデンス(根拠)があるのは薬物療法のみとなっています。
骨粗鬆症の対策には食事療法でカルシウムやビタミンDなど骨密度を増加させる栄養素を積極的にとったり、運動療法があげられますが、現段階でエビデンスがあるのは薬物療法のみです。
そのため骨粗鬆症の治療のメインは薬物療法で、プラスαで食事療法や運動療法を行うということになります。
しかし骨粗鬆症には薬物療法が一番効果的ですが、骨粗鬆症患者の骨折を防ぐには運動療法と食事療法がとても重要です。
骨が強くなっても転倒してしまえば骨折をする可能性はあります。
転倒しない体を作ることがとても重要で、そのためには運動を行ったり食事をしっかりと取ることが大切になります。
骨粗鬆症のチェック方法とは?
それでは誰でも簡単にできる骨粗鬆症のチェック方法についてご紹介します。
一つ目は伸長です。
伸長が3㎝以上縮んでしまっている人は骨粗鬆症が疑われます。
二つ目は立っている姿勢です。
壁に背中を着けて立ち、頭が壁につかなければ骨粗鬆症が疑われます。
三つ目は計算式に当てはめてみます。
年齢−体重≧20だった場合に、骨粗鬆症が疑われます。
この3つの方法は誰でも簡単に行えるため、是非行ってみてください。
まとめ
今回は骨粗鬆症についてご紹介してきました。
骨粗鬆症は高齢者の女性に多い病気で、骨折と深く関わりがあります。
骨粗鬆症患者の骨折率は高く、骨粗鬆症についてはしっかりと向き合っていかなければなりません。
早期から適切な治療を受けることで、骨粗鬆症による骨折を防ぐことができます。
みなさんも骨粗鬆症や骨折には気をつけましょうね!
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