呼吸の仕方には腹式呼吸と胸式呼吸があります。
なぜ腹式呼吸の方が良いのか、みなさんはご存知ですか。
今回は腹式呼吸と胸式呼吸の違い、効果的な腹式呼吸のやり方、腹式呼吸の確認の仕方についてご紹介します。
呼吸の方法には腹式呼吸と胸式呼吸があります。
同じ呼吸でもお腹を中心に膨らむのか、胸を中心に膨らむのかで違います。
よく腹式呼吸が良いといいますが、みなさんはその理由をご存知ですか。
今回はその理由と腹式呼吸の効果的なやり方をお伝えします。
本題に入る前に、まずは簡単に胸郭の動きの復習をしてみましょう。
胸郭の動きとは?
胸郭は胸骨・肋骨・胸椎によって構成され、樽状の形をしています。
呼吸をしたときの胸郭の動きは、バケットハンドルモーションやポンプハンドルモーションといいます。
バケットハンドルモーションは前から胸郭を見たときの動きになります。
このように息を吸うと胸郭は外側に広がり、吐くと閉じてきます。
この動きはバケツを逆さにした時の取っ手の動きと似ているため、バケットハンドルモーションと言われます。
ポンプハンドルモーションは横から胸郭を見たときの動きになります。
このように息を吸うと胸郭は上に向かって広がり、吐くと下側に向かって閉じてきます。
この動きは井戸水の水くみと同じ動きのため、ポンプハンドルモーションといいます。
胸郭の動きやストレッチ方法については以前に詳しくご紹介しています。
ご興味がある方はこちらをご覧ください。
それでは本題の腹式呼吸と胸式呼吸についてご紹介していきます。
腹式呼吸とは?
そもそも腹式呼吸とはなんなのでしょうか。
腹式呼吸は主に横隔膜によって行われる呼吸方法です。
実は横隔膜も筋肉であり伸びたり縮んだりします。
横隔膜は最も強力な吸気筋(息を吸った時に働く筋肉)であり、普段みなさんが呼吸をしているうちの70%が横隔膜によって行われています。
横隔膜はこの部分です。
横隔膜は肋骨や腰椎につき、収縮すると下側に縮んできます。
横隔膜の詳しい解剖
起始:【肋骨部】 第6肋骨と肋軟骨
【腰椎部】 第1〜3腰椎椎体,外側弓状靱帯,内側弓状靱帯
【胸骨部】 胸骨剣状突起
付着:腱中心
神経:横隔神経
作用:吸息
腹式呼吸をするとお腹が出ますよね?
これは横隔膜が収縮すると横隔膜の下にある内臓は圧迫され行きどころがなくなり、前側へ移動するためです。
このように腹式呼吸をすることで横隔膜が下にさがり、内臓が前に出てくるためお腹が出るのです。
腹式呼吸をしてもお腹が出ない人は胸式呼吸になっている可能性があります。
胸式呼吸とは?
胸式呼吸は胸郭につく筋肉が主体となって行われます。
各肋骨の間には肋間筋(ろっかんきん)という筋肉があります。
肋間筋は深い部分に内肋間筋(ないろっかん筋)、浅い部分に外肋間筋(がいろっかん筋)に分けられます。
内肋間筋の詳しい解剖
起始:肋骨の上縁
付着:起始肋骨に隣接する上の肋骨の下縁
神経:肋間神経
作用:呼気に働く
外肋間筋の詳しい解剖
起始:肋骨の下縁
付着:起始の肋骨に隣接する下の肋骨の上縁
神経:肋間神経
作用:吸気に働く
先ほどご紹介したように、吸気の70%は横隔膜によって行われています。
そのため胸式呼吸では浅い呼吸になりやすい特徴があることや、大きく息を吸うには胸郭につく筋肉を過剰に働かせなければなりません。
本来、呼吸は吸気では筋肉を使いますが、呼気ではほぼ使いません。
吸気では横隔膜が収縮することで息を吸い、胸郭も広がります。
呼気では吸気で収縮した横隔膜が自動的に戻ることや、広がった胸郭が自然と戻ろうとする力によって息が吐かれます。
そのため呼吸での呼気はほとんど自動的に行われているのです。
胸式呼吸では息が浅くなりやすいため、それを補うために呼吸の回数を増やしたり頑張って胸郭を広げようと人間のカラダは働きます。
頑張って胸郭を広げようと働くと、肋間筋以外の胸の筋肉や首周りの筋肉も働かなくてはいけません。
これは非常に効率が悪く、カラダにとっては負担でもあります。
もうおわかりだと思いますが腹式呼吸の方が楽に行われ、息を吐くさいも吸気の力を利用して行われるため、カラダとしても楽です。
これが胸式呼吸より腹式呼吸の方がいい理由の一つです。
若い人であれば影響はないのですが高齢者になると胸郭自体も固くなるため、胸式呼吸では息苦しくなることもあります。
日頃からしっかりと腹式呼吸の練習をしておくことが大切です。
効果的な腹式呼吸とは?
腹式呼吸の方法についてご紹介します。
腹式呼吸はやり方をちょっと変えるだけですぐできるようになります。
まず仰向けになり両脚を立てましょう。
この状態で鼻から大きく息を吸い、口から吐きます。
ここまでは普通の腹式呼吸です。
これに一つプラスすることで腹式呼吸がかなりやりやすくなります。
まずはご自分の呼吸方法が胸式呼吸なのか、腹式呼吸なのか確認してみましょう。
片手を胸に置き、もう片方をお腹の上に置きます。
この状態で呼吸をすると、胸とお腹どちらの方が大きく動いているかがわかります。
ここで胸が大きく動いていると胸式呼吸、お腹が大きく膨らむと腹式呼吸の確認ができます。
確認ができたところで、腹式呼吸のやり方をご紹介します。
腹式呼吸をうまくやるためには重りを使います。
やり方は先ほどの方法と同様で膝を立て、ポイントはお腹の上に重りを置きましょう。
息を大きく吸って乗せた重りを上に持ちあげるようにします。
重りを乗せることで腹式呼吸の感覚をつかむことができ、ほとんどの人はできるようになります。
重さは500g〜1kg程度で行ってみましょう。
自宅にあるものでは、ペットボトルなども使えますね。
重りがない場合でもご自身の手を置き、お腹が膨らむのを確認しながら行っても効果的です。
腹式呼吸のポイントは鼻から息を最大まで吸い込み、口からゆっくりと最後まで吐き切ることです。
これを意識し行ってみましょう。
まとめ
今回は腹式呼吸についてご紹介してきました。
呼吸の吸気で主に働く筋肉は横隔膜であり、横隔膜がしっかり働くのが腹式呼吸です。
まずは今回ご紹介した方法でご自身が胸式呼吸なのか、腹式呼吸なのか確認してみましょう。
胸式呼吸だった方はお腹の上に重りを乗せ、腹式呼吸の練習をしてみましょう。
腹式呼吸は呼吸方法で重要であり、体幹の安定性を得るためにも重要なトレーニングの一つでもあります。
みなさんもしっかりと腹式呼吸をマスターしましょうね!
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