『膝に水が溜まったから医者で抜いてもらった』よくある光景ですよね。
関節内の水(関節)の役割や重要性、重症度の検査方法、血液検査(CRPや白血球数)についてご紹介します。
膝の水をよくききますが、これは関節液のことです。
関節にトラブルが起こると、関節が腫れ、関節液の色も変わります。
それでは詳しくご説明しましょう。
関節液とは
関節液について
『膝に水が溜まった』とよく聞きますが、この水とはなんなのでしょうか。
関節の中に溜まる水はただの水ではなく、関節液というものになります。
関節は関節包(かんせつほう)という膜によって覆われており、関節包は滑膜(かつまく)と線維膜(せんいまく)の総称です。
関節の中は、軟骨面を除いて滑膜によって覆われており、その中の空洞になっている部分を関節腔(かんせつくう)といいます。
滑膜からは粘稠な滑液を分泌し、関節内の関節液は潤滑油のような働きをします。
これによって関節はスムーズに動くことができます。
この関節腔の中に関節液がたくさん溜まってしまった状態が、膝に水が溜まった状態です。
滑膜などに炎症があると、そこから出た滲出液(しんしゅつえき)が関節液に入ることもあります。
膝に水がたまったときに水を抜くことがありますが、その抜いた水(関節液)の状態を見ることで、関節の炎症状態をある程度知ることができます。
それでは詳しく見ていきましょう。
関節液の状態とは
関節液は粘稠な液状のもので、通常は透明の色をしています。
しかし関節に炎症が起こっている場合は、関節液の色が変化します。
関節液の色や状態を見ることで、関節に炎症が起こっているのか、またどのような炎症状態なのか把握することができます。
関節液の見た目と状態
関節液の状態は4つに分けられます。
〜関節液の状態〜
正常
非炎症性
炎症性
細菌性
状態を見るポイントは、関節液の色、粘稠度、白血球数などです。
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〜関節液の状態〜
【正常】
色:透明,淡桃色
粘稠度:高い
白血球数(/μl):200以下
【非炎症性】
色:透明,黄色
粘稠度:高い
白血球数(/μl):200〜2000以下
疾患:変形性膝関節症などでみられる。
【炎症性】
色:不透明〜半透明,黄
粘稠度:低い
白血球数(/μl):2000〜7500
疾患:関節リウマチなど
【細菌性】
色:不透明
粘稠度:さまざま
白血球数:(/μl)200075000
疾患:細菌感染
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このように関節液の状態で、関節の炎症状態を判断します。
入院中は、関節液のチェックに加え、採血による血液検査で炎症状態もチェックします。
採血検査で炎症を確認
CRPと白血球とは
血液検査で炎症をチェックする値として、CRPや白血球数(WBC)の値をみます
CRPとは
CRP(C反応性たんぱく)は、カラダの中で炎症が起こっていたり、組織の破壊がある場合に血液中に増加する蛋白のことです。
正常なカラダの血液中にはCRPはなく、手術などによって炎症やカラダの組織に負担がかかることで増加します。
手術後、約12〜24時間以内に血液中から存在し、炎症が落ち着くに伴いCRPも減少してきます。
CRPの正常値と異常値
正常値:0.6mg/dl以下
異常値:0.7mg/dl以上
正常値より高い値の場合は、カラダの中で炎症が起こっていることになります。
CRPが上昇する疾患・時期
・手術後の炎症期
・膠原病(関節リウマチ,血管炎など)
・肝硬変
・敗血症
・心筋梗塞
・悪性腫瘍
・急性細菌感染症
・ウイルス性疾患 など
CRPが上昇しない疾患
・白血病など
白血病は白血球数は上昇しますがCRPは上昇しないため、注意しましょう。
CRPの検査方法とは
採血で血液を採取し、それを定性法または定量法の方法で検査をします。
現在は、定量法が主流に行われています。
定性法とは
抗CRP抗体を血清に混ぜ、沈殿物ができるかどうかを検査する。
沈殿物ができた場合は陽性となり、重症度は沈殿物の高さで決めます。
〜重症度〜
高さ1mmごとに+1〜+6の6段階
沈殿物ができなければ血中にCRPは存在せず、陰性(−)となります。
定量法とは
1dl中のCRPの量を計測する検査です。
この値が0.6mg/dl以下が正常となります。
白血球数(WBC)とは
白血球とは、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球の総称です。
白血球は、体内に入ってきた異物や細菌などを退治するために働きます。
このように白血球が働くことで、カラダは正常な状態を保つことができます。
白血球は骨髄の造血幹細胞という場所で作られています。
骨髄には1兆個もの細胞があるといわれています。
骨髄では常に新しい血液が作られており、毎日、赤血球や白血球、血小板が作り変えられています。
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〜1日に作られる血液〜
赤血球:約2000億個
白血球:約1000億個
血小板:約1億個
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白血球数の正常値とは
白血球の正常値は年齢によって多少異なります。
〜白血球 基準値〜
【新生児】
10000個/m㎡
【6〜14歳】
6000〜11000個/m㎡
【成人(15歳以上)】
4500〜9000個/m㎡
白血球数の異常値
成人の場合、白血球数が10000個/m㎡以上を、白血球増多症といいます。
反対に、白血球数が4000個/m㎡以下を、白血球減少症といいます。
白血球が上昇する疾患・時期
・感染症に感染したとき
・悪性腫瘍
・心筋梗塞
・白血病や敗血症などの血液疾患
・アレルギー疾患 など
白血病数が低値をしめす疾患・時期
・解熱鎮痛剤の使用
・抗がん剤の使用
・放射線治療による骨髄抑制など
・骨髄の造血幹細胞が破壊されているとき
白血病数の注意点
正常であっても、一次的に白血病が変化することがあります。
ストレスや食事、激しい運動などによって、一時的に白血病数が増加することがあります。
この場合は、特に問題ありませんが再検査を進められることがあります。
反対に一次的に白血病が低値を示すことがあります。
抗生物質の使用や解熱鎮痛剤の使用による副作用で、一時的に白血病が減少することがありますが、これも特に問題はありません。
しかし、再検査を進められることがあります。
まとめ
膝にトラブルと起こしていると、水が溜まることがありますよね。
その水のことを関節液といいますが、関節液を調べることで膝の炎症状態をしることができます。
これに加え、血液検査でCRPや白血球数を調べることでより正確に炎症状態を把握できます。
町医者で水を抜くことがあると思いますが、意識してみてみるとご自分の膝の状態がわかるため、覚えておくといいですね。