ヒトのカラダには『運動連鎖』といって決まった動きのパターンが存在し、これを利用することでカラダの痛みを軽減させることもできます。
運動連鎖で重要な骨盤と足関節の動きをご存知でしょうか。
それでは下肢の運動連鎖で重要な4つのポイントをご説明しましょう。
運動連鎖をわかりやすくいえば、一部の関節を動かすとそれに続いて隣接する関節も動き、様々な場所に連鎖が起こることです。
そのため、カラダの一部の関節が動くことで離れた関節にまでも影響が及びます。
カラダに痛みが生じていても、痛みの原因は全く別の場所である可能性もあるということです。
それでは骨盤から下肢の運動連鎖についてご説明します。
運動連鎖の種類とは?
運動連鎖は大きく分け、上行性と下行性の2種類になります。
上行性とは、下から上に向かって影響を及ぼす運動連鎖です。
これは足首から始まって、膝や股関節、骨盤に向かって上方へ向かって影響を及ぼします。
下行性とは上から下に向かって影響を及ぼすことで、骨盤の影響が股関節や膝関節を通過し足関節まで及びます。
このように運動連鎖には『上に向かって影響を及ぼすパターン:上行性』と『下に向かって影響を及ぼすパターン:下行性』の2種類があります。
上行性と下行性の中でもさらに2パターンずつに分かれます。
上行性は足関節の動き、下行性は骨盤の動きの影響を受け、それぞれ2パターンずつに分かれるため、全部で4パターンあります。
〜運動連鎖の4つのポイント〜
①骨盤前傾の影響
②骨盤後傾の影響
③距骨下関節回内の影響
④距骨下関節回外の影響
骨盤や下肢の解剖学
運動連鎖のご説明の前に各関節を見直しておきましょう。
距骨下関節について詳しく確認したい方はこちらをご参考にしてください。
下行性の運動連鎖とは?
まず下行性の運動連鎖からご説明します。
下行性は骨盤から足関節の方向に向かって影響を及ぼします。
骨盤の動きには前傾と後傾があり、腰がそって骨盤が前に傾くことを前傾、腰が丸まって骨盤が後ろに傾くことを後傾といいます。
ポイントは骨盤の前傾と後傾で運動連鎖が変わるということです。
骨盤前傾による運動連鎖
ポイント①は骨盤の前傾です。
骨盤前傾の影響による各関節の動きをみてみましょう。
下行性(骨盤前傾) ◆骨盤:前傾 ◆股関節:屈曲、内転、内旋 ◆膝関節:伸展、外反、外旋 ◆下腿:内側傾斜、内旋 ◆距骨下関節:回内
これは女性でよくみられる姿勢ですよね。
要するに骨盤が前傾すると、足はX脚のように内股になり、足首は内側にねじれます。
骨盤後傾による運動連鎖
ポイント②は骨盤の後傾です。
下行性(骨盤後傾) ◆骨盤:後傾 ◆股関節:伸展、外転、外旋 ◆膝関節:屈曲、内反、内旋 ◆下腿:外側傾斜、外旋 ◆距骨下関節:回外
わかりやすく言えば、ガニ股の姿勢です。
骨盤が後傾することで、膝はガニ股のようになり外側へ向き、足首は外側へねじれます。
上行性の運動連鎖とは?
上行性は足関節の動きが膝関節や股関節、骨盤へと影響を及ぼします。
距骨下関節の動きには回内や回外があり、この動きによって運動連鎖が起こります。
ポイントは距骨下関節の動きによって運動連鎖が変わるということです。
距骨下関節回内による運動連鎖
ポイント③は距骨下関節の回内です。
上行性(距骨下関節回内) ◆距骨下関節:回内 ◆下腿:内側傾斜、内旋 ◆膝関節:屈曲、外反、内旋 ◆股関節:屈曲、内転、内旋 ◆骨盤:前方回旋
骨盤の前方回旋とは、片側の骨盤だけが前方へ動いた状態になります。
イメージとしては、立った状態で片側の骨盤だけを前方へ動かす感じです。
距骨下関節回外による運動連鎖
ポイント④は距骨下関節の回外です。
上行性(距骨下関節回外)
◆距骨下関節:回外
◆下腿:外側傾斜、外旋
◆膝関節:伸展、内反、外旋
◆股関節:伸展、外転、外旋
◆骨盤:後方回旋
骨盤の後方回旋は前方回旋とは逆で、片側の骨盤だけを後傾させるイメージです。
運動連鎖の注意点
運動連鎖はカラダの運動パターンですが、必ずしも全てが当てはまるというわけではありません。
例えば、変形性膝関節症やリウマチで関節自体が変形してしまっている場合は当てはまらないことが多いです。
また運動連鎖は重心の位置にも影響を受けます。
極端にいえば不安定な場所に立っていた場合、バランスを取るために平衡反応で姿勢を調整します。
このような場合は運動連鎖だけではなく、平衡反応としてカラダの動きが起こるため、運動連鎖と違った関節の動きが生じます。
このように環境やカラダの状態によって運動連鎖の影響は変化することをしっかりと抑えておきましょう。
まとめ
下肢の運動連鎖についてご紹介してきました。
どこか一つの関節が動くと離れた他の関節にも影響を及ぼすことがわかったと思います。
足首に痛みが生じても、原因は足首でなく骨盤である可能性もあるってことですね。
運動連鎖をしっかりと抑え、カラダの運動パターンを理解しておきましょうね。
こちらをご参考にどうぞ。
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