スポーツニュースで『◯◯選手 膝前十字靭帯損傷で全治10ヶ月。今季絶望!』など報道されているのを見たことがあるのではないでしょうか?
前十字靭帯とは膝関節の中でも特に重要な靭帯の一つで膝の安定性にものすごく関与します。
前十字靭帯損傷はサッカーやラグビー、バレーボール、バスケットボールで起こりやすいケガです。
今回は前十字靭帯の働きや役割、どのような場面で前十字靭帯が損傷をするのかをご紹介いたします。
引用)1
膝には多くの靭帯が存在しますが、中でも膝を安定させるために4つの靭帯が重要です。
4つの靭帯とは①前十字靭帯、②後十字靭帯、③内側側副靭帯、④外側側副靭帯です。
中でも前十字靭帯は非常に重要な靭帯です。
それでは前十字靭帯について見ていきましょう
前十字靭帯とはなに?
引用)1
前十字靭帯は大腿骨と脛骨を結ぶ靭帯です。
前十字靭帯は大腿骨の後方から脛骨の前方に向かって付いています。
働きとして、常に一定の靭帯の緊張を保ち、脛骨が前方へ行き過ぎるのを抑えます。
少し深く掘り下げてみましょう。
前十字靭帯は二つに分類できます。
前内側線維束 と 後外側線維に分類できます。
特に後外側線維束は前十字靭帯の主要な要素です。
前内側線維束は膝屈曲位で張りし、後外側線維束は膝伸展位で張ります。
この両方が別々に張ることで、膝関節の角度にかかわらず常に一定の緊張を保っています。
前十字靭帯が損傷するとどうなのでしょうか?
靭帯が損傷することで、日常生活で膝折れが起こるようになります。
膝折れとは日常生活で急にガクっと膝が崩れ落ちる現象です。
この膝折れが起こるか、起こらないかががとても重要になってきます。
膝折れが起こる場合は、早い段階での病院受診をお勧めします。
なぜ前十字靭帯損傷が起こるのか?
前十字靭帯損傷の受傷パターンとして2種類あります。
大きく分けて接触型損傷と非接触型損傷です。
まずは接触型損傷についてです。
これはラグビーに多いケースです。
第三者による外力が直接膝関節へストレスを加えて受傷します。
引用)2
次に非接触型損傷についてです。
前十字靭帯損傷のなかでは、このタイプの方が多いです。
これのタイプはジャンプ着地やストップ動作、方向転換にて自分で受傷するケースがあります。
主に受傷しやすい場面です。
引用)2
非接触型損傷は全体の70%をしめます。
なかでもジャンプの着地動作による損傷やカッティング動作時で損傷者が多いです。
受傷をしやすい膝の状態として、軽く膝が曲がった状態での接地、膝が内側を向いている状態です。
引用)1
このような状態で体重をかけることにより前十字靭帯を損傷してしまいます。
前十字靭帯再損傷の最大のリスクファクターとして、膝が内側を向いてしまうことです。
スポーツ復帰までの道のり
まず前十字靭帯の損傷程度により保存療法なのか手術療法なのか決まります。
前十字靭帯は損傷したからといって骨折のようにすぐに手術を行うわけではありません。
前十字靭帯を損傷した中でスポーツをされている方も多いです。
まずは数ヶ月間リハビリを行い膝の安定性獲得を目指します。
日常生活で膝折れがあったりスポーツで支障がある場合に手術を選択していきます。
手術は損傷した前十字靭帯の部分をご自分の他の部位の腱を使って新しく前十字靭帯のような靭帯を作り入れ替えます。
腱を使う場所は、膝のお皿の下や膝の内側の腱を使います。
手術後はリハビリをしっかりと行っていきます。
リハビリをしっかり行ってもスポーツに復帰するためには10ヶ月程度はかかります。
またスポーツ復帰をすることができたとしても、ケガをする前のパフォーマンスに戻っていないケースもあります。
まずはしっかりとリハビリを行うことが重要です。
まとめ
前十字靭帯とは膝関節の中でも特に重要な靭帯の一つで膝の安定性にものすごく関与します。
前十字靭帯損傷はサッカーやラグビー、バレーボール、バスケットボールで起こりやすいケガです。
膝には4つの重要な靭帯があり、その中でも特に前十字靭帯が重要です。
前十字靭帯の働きとして、脛骨の前方への移動を抑えます。
この前十字靭帯が損傷してしまうと、日常生活で膝折れが起こる可能性があります。
前十字靭帯損傷の受傷起点として、接触型と非接触型があり非接触型が70%を締めます。
特に一番リスクファクターとして、膝が内側に入ってしまうことです。
前十字靭帯損傷後はリハビリを行い様子をみて、手術を行うかどうか検討をしていきます。
スポーツ復帰までは10ヶ月前後はかかるため、地道なトレーニングが重要になってきます。
前十字靭帯損傷はよくあるスポーツでのケガなので、知識として是非知っておくといいと思います。
知っておくだけでも前十字靭帯損傷の予防にもなると思います。
参考・引用文献
1)大見頼一:なぜ、膝はケガをしやすいのか−膝の構造と受傷メカニズム−:トレーニング ジャーナルル 34(11):42-46. 2012
2)酒井宏哉:膝前十字靭帯損傷:トレーニング ジャーナルル 24(8):31-35. 2002
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