かかとの骨も骨折することを知っていますか?
多くは高いところからの転落で骨折をします。
特に仕事や趣味で脚立に登る人は要注意です。
今回はかかとの骨折の治療法、リハビリ、その後の生活についてご紹介します。
かかとの骨とは?
かかとの骨の名前を知っていますか?
かかとは漢字で“踵”と書き、『かかと』あるいは『しょう』と読みます。
かかとの骨は『踵骨』と書いて『しょうこつ』と読みます。
イラストでみてみましょう。
踵骨はこの部分であり簡単に触ることのできる骨です。
踵骨の上には距骨(きょこつ)があります。
踵骨と距骨の間にも関節があり距骨下関節(きょこつか関節)といいます。
足首を左右にねじるときにこの関節が動きます。
特に足首で左右のバランスを取るときに重要になる関節です。
踵骨の前側には立方骨(りっぽうこつ)があります。
踵骨にはみなさんもご存知であるアキレス腱がついています。
アキレス腱は途中から腓腹筋(ひふく筋)という筋肉になります。
(左:アキレス腱,右腓腹筋)
腓腹筋に力が入ることで踵骨が引っ張られて足首が下にさがります。
このようなつま先立ちの時は腓腹筋が踵骨を引っ張ることでかかとが持ち上がります。
踵骨には重要な靭帯がついています。
内側には三角靭帯、外側には踵腓靭帯がついており、踵骨の安定性に大きく関与しています。
【内側】
引用1)
【外側】
引用1)
踵骨骨折とは?
踵骨骨折の原因は転落や交通事故による直達外力(ちょくたつ外力)、転倒や捻挫による介達外力(かいたつ外力)があります。
直達外力とは踵骨に直接大きな外力が加わることです。
介達外力とは踵骨に直接大きな外力が加わるのではなく、足首を捻ったことで踵骨に負担がかかり骨折してしまうということです。
踵骨骨折の多くは直達外力がほとんどです。
踵骨骨折の症状としてはかかとが痛くて歩けなくなります。
転倒や転落をし、かかとが痛くて歩けない場合は踵骨骨折の可能性が高いため病院を受診することをおすすめします。
踵骨骨折後の治療とは?
踵骨骨折後の治療は保存療法と手術療法になります。
折れ方や年齢、合併症の有無等でどちらかが選択されます。
まず保存療法についてご紹介します。
保存療法の場合、骨折をしてから3〜4週間程度はシーネ固定となります。
この間は足に体重をかけたり関節を動かすことはできません。
その後、骨折をしてから4週以降に体重をかけたり関節を動かしたりすることができます。
体重をかけるのも一気に全体重をかけるのではなく、体重の3分の1ぐらいから徐々に体重をかけていきます。
なぜ一気に全体重をかけないかというと、骨折した部分の骨が完全にくっついておらずズレる可能性があるからです。
そのため体重の3分の1から開始します。
増やし方として、3分の1 → 2分の1 → 3分の2 → 全体重 となります。
体重をかけ始めて全体重可能になるまで1ヶ月程度かかります。
保存療法のメリットとして、手術をしてないため傷がない、手術による心理的ストレスを受けないことです。
デメリットとして、手術で固定をしていないためズレる可能性がある、数週間は固定している必要があることです。
手術は骨折した骨をボルトで固定します。
手術をしたからといってすぐに体重をかけられるわけではありません。
保存療法同様に体重制限がかかり、徐々に体重をかける量を増やしていきます。
保存療法と違う点は早い段階から関節を動かすことができます。
手術療法のメリットとしてボルトで固定されるためズレにくい、早い段階から関節を動かすことができることです。
デメリットとして、手術の傷から菌が入ると再手術する可能性がある、保存療法より足が腫れやすい、手術をするため手術による痛みがあることです。
どちらもメリット・デメリットがあることや、各病院や主治医の意見で手術をするかしないか決まるため、どちらが正解とかはありません。
一概には言えませんが私の経験では高齢でない限り手術をするケースが多い印象があります。
手術後の生活とは?
踵骨骨折後、しっかりとリハビリを行えば元の生活に戻れることは可能です。
しかし普段の生活には戻れますが、踵骨を骨折したことで日常の動作に不便が生じることがあります。
なぜかというと踵骨を骨折することで足首の上下左右の動きが悪くなるからです。
足首の動きが悪くなると日常生活ではどのような場面で不便になるのでしょうか。
足首の上下の動きが悪くなってしまった場合、床にしゃがむ動作や和式トイレ、静坐をすることが大変になります。
足首の左右への動きが悪くなってしまった場合、足首でバランスを取ることが下手になります。
例えばお寺など小さな石や砂利が敷いてある所を歩いた際に、足首でバランスを取ることができず転んだり痛みが出てしまいます。
こうならないためにもしっかりと入院中からリハビリをすることが重要です。
足首の自主トレとは?
入院中からしっかりと足首を柔らかくするように自主トレーニングをすることが重要です。
入院中は理学療法士がリハビリを行うため、理学療法士の指示に従い自主トレを行いましょう。
重要なのは退院後の自主トレです。
外来リハビリは週に1回であることがほとんどのため残りの6日間は自主トレになります。
自主トレをしっかりとしないと治りません。
まずストレッチの方法をご紹介します。
足の左右へのストレッチはこのように行います。
足の指もストレッチをしましょう。
ストレッチ以外にもマッサージが重要です。
特にふくらはぎが固くなりやすいため、この部分をよくマッサージしましょう。
足首のストレッチやマッサージのあとに筋トレも行いましょう。
そうすることでより効果的で足首が安定するようになります。
踵骨骨折の場合、ふくらはぎである下腿三頭筋(かたいさんとう筋)が一番筋力低下します。
そのためこの筋肉をしっかりとトレーニングすることが重要です。
方法としてつま先立ちを行いましょう。
注意点として足首が外側に返らないようにしっかりと親指側に体重をのせましょう。
二つ目は足首を上に上げるトレーニングをしましょう。
注意点として足の指を丸めながら足首を上にあげましょう。
三つ目は足首を左右にひねるトレーニングをしましょう。
このようにチューブを使い行います。
チューブがない場合はタオルで負荷をかけても構いません。
まとめ
かかとの骨を踵骨といい、転落や交通事故、転倒で骨折をします。
骨折の症状として痛くて歩けなくなります。
踵骨骨折の治療はシーネでしばらく固定する保存療法と、手術療法があります。
踵骨を骨折すると1ヶ月程度は体重をかけることができないため、松葉杖の生活になります。
踵骨を骨折すると足首が固くなり、その後の生活が不便になる可能性が大いにあるためしっかりとリハビリをすることが重要です。
今回は踵骨骨折についてご紹介してきました。
普段、脚立に登る人は特に注意してくださいね!
参考・引用文献
1)坂井建雄ら:プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系 第2版.医学書院.2011
右踵骨骨折して2週間入院、退院する際に保存治療でファイバー製のギプスまいから6週間になります。後1週間すればギプスを取れて足底坂に変わる予定です。もちろんリハビリですけど!速くドライブしたいです。完治してから、走ったりするのは駄目ですか?
カラス天狗様。
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