通勤で車に乗る方は特に要注意です。
骨盤骨折は交通事故で起こりやすく、高齢者の場合は転倒によって起こります。
今回は骨盤骨折の原因や治療、リハビリ、手術についてご紹介します。
骨盤骨折は交通事故による強い衝撃が加わることや、高齢者は転倒し外力が加わることで骨折します。
そのため骨盤骨折は折れ方により重症になることがあります。
骨盤骨折は痛みが強く、歩けるようになるまで時間がかかる骨折です。
骨盤の構造とは?
まずは簡単に骨盤の構造から復習をしましょう。
骨盤は左右の寛骨と仙骨から構成されています。
寛骨はさらに腸骨、坐骨、恥骨にわけられます。
骨盤の丸い空洞の部分を骨盤輪(こつばんりん)といい、この部分は骨盤底筋という筋肉によって覆われています。
骨盤底筋は出産と大きく関係のある筋肉の一つです。
出産と骨盤周囲の筋肉についてこちらでご紹介しています。
ご興味がある方はどうぞ。→産後の骨盤状態についてはこちら。
骨盤の形は女性の方が骨盤の開きが広く、恥骨下角が大きいのが特徴です。
これは出産時に開きやすいようにカラダが作られているためです。
骨盤には多くの筋肉がついており、腸骨には腸骨筋、坐骨であればハムストリングス、恥骨には内転筋などメジャーな筋肉が数多くついています。
骨盤の構造について以前にこちらで詳しくご紹介しています。
復習した方はこちらをご覧ください。→骨盤の構造についてはこちら。
骨盤骨折とは?
骨盤骨折は交通事故など高エネルギーがくわわることで受傷することがほとんどであり、中には転倒で骨盤を骨折される高齢者もいます。
骨折後は痛みが強く歩けなくなるのがほとんどです。
交通事故で起こるケースとして車と直接接触して起こるケースと、車の運転席もしくは助手席に乗り事故でぶつかった反動で勢いよくダッシュボードに足があたり骨折するケースがあります。
運転席や助手席で事故にあうとダッシュボードに強く足があたり股関節も脱臼をしてしまうことがあります。
これをダッシュボード損傷といい、股関節脱臼と同時に坐骨神経を損傷してしまうこともあります。
高齢者の場合は交通事故に比べ転倒して起こるケースが多いです。
骨盤骨折の分類とは?
骨盤骨折は安定型と不安定があります。
安定型は比較的ズレにくい骨折に対し、不安定型はズレる可能性がある重症な骨折です。
骨折の分類は折れている場所によってわけられます。
骨折の分類
安定型:①腸骨翼骨折 ②恥骨骨折 ③坐骨骨折
不安定型:④腸骨骨折 ⑤仙骨骨折 ⑥仙腸関節離開
安定型と不安定型の違いについて簡単にご紹介します。
例えば立った状態を想像してみてください。
安定型である腸骨翼の骨折の場合、この部分には直接的に体重はかからないため負担は少ないです。
恥骨骨折であっても体重は寛骨臼から大腿骨へかかるため直接的に恥骨に負担はかかりません。
しかし不安定型である仙骨骨折や仙腸関節離開はどうでしょうか。
体重は仙骨から仙腸関節を伝わり大腿骨の方へかかります。
このため仙骨が骨折していると体重をかけた場合に骨折部に負担がかかりズレてしまいます。
骨盤の周りには神経や動脈など重要な組織もあるため骨盤骨折は特に注意が必要です。
場合によっては骨盤内で大量出血を起こす可能性があります。
骨盤周囲の神経や血管についてはこちらでご紹介しています。
ご興味がある方はどうぞ!
骨盤骨折の治療とは?
骨折後の治療は主に保存療法または手術により固定を行います。
安定型の場合には保存療法が選択されます。
不安定型の場合、骨折している部分に直接プレートやスクリューなどで固定する方法と、骨盤にピンをさしカラダの外で固定をする創外固定法があります。
直接プレートやスクリューで固定する方が固定力が強いですが手術による侵襲が大きいためカラダへの負担が大きいです。
骨盤の周りには多くの神経が通っています。
骨盤の前から手術をする場合は、大腿神経や外側大腿神経に注意が必要です。
この神経を損傷すると膝を伸ばす筋力の低下、太ももの外側のしびれが起こることがあります。
後ろから手術をする場合は、坐骨神経に注意します。
坐骨神経が損傷すると膝の曲げる運動や足首の運動が障害されます。
創外固定の方がカラダへの負担が少ないですが、固定力は弱くなります。
またカラダの中からピンが外に出ているため感染のリスクもあります。
手術の選択は骨折の状態や年齢、既往歴などさまざまなことを考慮し方法を選択していきます。
骨盤まわりの神経や血管について詳しくご紹介しています。
特に腰神経について確認したい方はご覧ください。
骨盤骨折のリハビリとは?
リハビリはできるだけ早期から行います。
早い人では入院した次の日からリハビリを行っています。
安定型の場合、リハビリでは早い段階から荷重をかけても大丈夫のため荷重練習を行います。
しかし安定型の骨折といっても折れているところの痛みが強いです。
例えば恥骨が骨折したとします。
恥骨には多くの筋肉(内転筋)がついているため、内転筋に力を入れた場合や歩く際に痛みが強くなることがあります。
痛みは3週間程度で徐々に減ってくる方が多いです。
不安定型の場合、基本的にはベッド上安静となります。
体重をかけられるようになるまで8〜12週程度かかります。
体重をかけ始めるタイミングは医師がレントゲンを見て判断します。
まとめ
骨盤骨折は交通事故や転倒によって起こります。
骨盤骨折には安定型と不安定型があり、不安定型の場合は骨がズレる可能性があります。
治療法は保存療法と手術療法があります。
手術療法は骨折している部分に直接プレートやスクリューなどで固定する方法と、骨盤にピンをさしカラダの外で固定をする創外固定法があります。
骨盤骨折は重症な骨折の一つです。
車に乗る人は特に気をつけましょう!
コメントを残す