足首の中にも脂肪体(しぼうたい)という脂肪組織があることを知っていますか?
実はこの脂肪は足首にとってとても重要な働きをします。
今回は足首の脂肪体の構造や作用、特徴についてご紹介します。
脂肪体とは?
脂肪体とはその名の通り脂肪のことで、英語でfat pad(ファット パッド)といいます。
脂肪体はカラダのさまざまなところにあり、なかでも有名なのは足首の後側にあるkager’s fat pad(ケーラー脂肪体)、膝のお皿の下ある膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)です。
多くの方は脂肪はないほうがいいと思うかもしれません。
しかしお腹の脂肪はない方がいいですが、足首や膝の脂肪にはとても重要な働きがあります。
脂肪体の働きの前にまずは構造からご紹介します。
脂肪体の構造とは?
脂肪体はその名の通り脂肪組織です。
各関節の間にあり、関節の動きに合わせ脂肪体が潰れたり変形します。
脂肪体の特徴として固有受容器(こゆうじゅようき)や自由神経終末(じゆうしんけいしゅうまつ)が存在します。
固有受容器とは、関節の動きや位置、力を感知する場所です。
固有受容器は多くの場所にあり、関節包や筋紡錘、腱紡錘などといった筋肉や腱の中にもあります。
自由神経終末とは刺激を受け取るための構造を持たない神経で、その終わりの部分をいいます。
自由神経終末は痛みや温度を感知し脳へ情報を送ります。
脂肪体は関節の動きに合わせて変形する特徴がありますが、ケガで長期間の関節固定を行った場合や炎症症状があると、固くなったり肥厚したりします。
足首の脂肪体とは?
足首周りにある脂肪体を3つご紹介します。
足首周りの脂肪体とは? ①kager’s fat pad (ケーラー脂肪体) ②距骨前脂肪体 ③踵骨下脂肪体
まずkager’s fat pad(ケーラー脂肪体)からです。
kager’s fat padはkager’s triangle(ケーラー三角)という部分にある脂肪のことをさします。
ケーラー三角とはアキレス腱、踵骨上縁、長母趾屈筋により構成されます。
このケーラー三角の中にあるのがケーラー脂肪体で、足首を動かすと変形します。
ケーラー脂肪体は底屈すると関節内に入り、背屈すると関節内から出てきます。
足首の前側にも脂肪体があり、これを距骨前脂肪体といいます。
距骨前脂肪体は足首を背屈すると関節内に入り、底屈すると関節外に出てきます。
踵骨下脂肪体は踵骨(かかと)の下にあります。
脂肪体と痛みの関係とは?
先ほどご紹介しましたが、脂肪体には自由神経終末が存在するため痛みを感じる組織でもあり、固くなりやすい組織でもあります。
ケーラー脂肪体に影響がでる疾患としてアキレス腱断裂や足関節骨折があります。
ケーラー三角はアキレス腱・踵骨上縁・長母趾屈筋によって構成されていますが、この周囲が損傷することによる炎症や出血、固定療法によって脂肪体が固くなってしまいます。
アキレス腱断裂についてはこちらで詳しくご紹介しています。
ご興味がある方はご覧ください。
距骨前脂肪体に影響がでる疾患は足関節骨折です。
足関節骨折は距腿関節の骨折であり脂肪体のすぐ近くであるため、炎症や出血の影響を受けます。また足関節骨折は数週間足首を固定する期間があるため、不動により脂肪体が固くなってしまいます。
脂肪体が固くなったり、損傷により関節で出血が起きていることで、足関節が正常に動かず脂肪体が挟まってしまい痛みが生じてしまいます。
この脂肪体の挟まりをインピンジメントともいいます。
足関節骨折についてはこちらで詳しくご紹介しています。
ご興味がある方はご覧ください。
踵骨下脂肪体は踵骨の下にある脂肪体で、歩く際に全体重がかかる部分でもあります。
みなさんも経験があると思いますが、丸1日ディズニーランドやUSJに行くと帰りには踵(かかと)が痛くなったことがあると思います。
長い距離を歩くことで踵骨下脂肪体に何回も何回も負担がかかり痛みが生じますが、ほとんどは翌日には回復しています。
まとめ
脂肪体はカラダの様々なところにあり、足首周りには主に3つの脂肪体があります。
脂肪体には固有受容器や自由神経終末があり、痛みを感じる場所です。
脂肪体は足首の動きと一緒に動きますが、ケガや固定療法によって脂肪体が固くなりスムーズに動かなくなることで痛みが生じます。
脂肪体に影響がでやすいケガとして足関節骨折やアキレス腱断裂があります。
お腹の脂肪はないほうがいいですが、足首の脂肪はとても重要なものなのでしっかりと抑えておきましょう!
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