『寝起き』や『歩き始め』に足の裏が痛くなることありませんか?
痛みの原因は足底腱膜炎の可能性があります。
特にランニングや陸上、バスケットボールをされている方に多いです。
今回は足底腱膜炎の詳細や原因、簡単にできる治療法をご紹介します。
足底腱膜炎とは?
『寝起き』や『歩き始め』、『走り始め』に足の裏に痛みが出ることがあるのではないでしょうか?
このような足裏の痛みは足底腱膜炎の特徴です。
足底腱膜炎はランニングをされる方や若者のスポーツ者によく見られる傷害です。
足底腱膜炎の発生数のグラフをみてみましょう。
上が年齢別、下がスポーツ別になります。
引用1)
このように10代で非常に多く、スポーツでは特に陸上やバスケットボールで多いことがわかります。
スポーツをしている時に足の裏が痛いとプレーに影響でませんか?
足底腱膜炎は放っておいても良くなりませんし、痛みも軽減しません。
足底腱膜炎の改善や痛みの緩和にはしっかりと治療をする必要があります。
それでは足底腱膜の構造や働き、各スポーツでの痛みの出現原因、治療法についてご説明していきます。
足底腱膜とは?
まず足底腱膜をイラストで見てみましょう。
足底腱膜は“かかと”から足の親指〜小指までの指の付け根についています。
足底腱膜(詳しい解剖)
付着:踵骨隆起
第1〜5趾の基節骨と中足骨骨頭
機能:足部のアーチの保持
足底の深部の血管や神経の保護
足の裏にはへこみがあります。
このへこみをアーチといい、このへこみが少ない人を偏平足といいます。
足に体重がかかると足底腱膜や筋肉が足のアーチを保持しようと働きます。
アーチはとても重要で足にかかる衝撃を吸収する働きがあります。
アーチが減ると偏平足になり、衝撃吸収ができず足に負担がかかりやすい状態となってしまいます。
足底腱膜はかかとから足の指についているため、足の指を上に向けることで足底腱膜が張ります。
引用2)
これをウインドウラス機構といいます。
このように足底腱膜が張ることで足が安定し、歩く際にしっかりと床を蹴れるようになります。
しかし偏平足のようにアーチが下がり足の裏が真っ平らになってしまうと、足底腱膜が張らなくなり床を蹴る力が落ちてしまいます。
歩く際にしっかりと床を蹴るためには足底腱膜の張りやアーチの状態がとても重要なポイントになります。
足のアーチは足底腱膜以外に筋肉によっても支えられています。
アーチの構造や筋肉の詳細についてはこちらでご紹介しています。
知識を深めたい方はこちらもご覧ください。
足底腱膜炎の原因とは?
足底腱膜炎の原因はさまざまです。
足の裏が原因だったり、靴が原因だったりします。
多くみられる原因について各分野に分けてご紹介します。
バスケットボールやバレーボールでは?
バスケットボールやバレーボールで足底腱膜炎が起こる場合は、垂直ジャンプの着地が影響しています。
ジャンプの着地によって体重がかかることで足底腱膜は衝撃を吸収するように働きます。
これを返せば、ジャンプをすることで常に足底腱膜にストレスが加わっているということです。
ランニング
ランニングや陸上選手、テニスなど全力で走る動作を繰り返すスポーツでは、足で地面を蹴るときに痛みが出現することが多いです。
地面を蹴るときに足の指が上がり足底腱膜が張ることや、地面を蹴るときに下腿三頭筋や足の指を曲げる筋肉が働くこと足の安定性を獲得しています。
安定性を獲得するために足底腱膜には伸張するストレスが繰り返し加わり、下腿三頭筋や指を曲げる筋肉には引っ張るストレスが加わります。
このストレスが繰り返し加わることで、徐々に負担が貯まり痛みが出現してしまいます。
加齢による足の変化
50歳前後の方で歩いている時に特に足をついた時に痛みが出現する場合は、かかとの骨が出っ張っていることがあります。
長年の荷重の負担によってかかとの骨が変化し骨棘(こつきょく)という骨のトゲのようなものができることがあります。
この骨棘が痛みの原因になっていることがあります。
骨棘の場合はレントゲンを撮らないとわからないため、受診する必要があります。
骨棘が原因で痛みが出現しており我慢できないほど痛みが続く場合は、手術で骨を削ることがあります。
靴や床の影響とは?
スポーツでは野球やサッカーのようにスパイクを履く競技があったり、剣道のように素足で行う競技があります。
野球やサッカーは常に足の裏とスパイクは接地した状態です。
そのためスパイクが足に合っていない場合、常に足の裏に負担がかかります。
例えばスパイクが合わず足の裏に当たっていた場合、その部分に常に負担がかかり痛みが出現します。
剣道は素足のため踏み込んだ際に床からの衝撃が直接足の裏にかかり、足底腱膜がつく部分に負担がかかることで痛みが出現します。
足の形の影響とは?
偏平足や外反拇趾でも足の裏に影響がでます。
足の形が変形することで足の裏の筋肉が正常に働かなくなります。
これにより足のアーチが崩れ足底腱膜が伸張されるようなストレスが加わり痛みが出現します。
足底筋膜炎の治療法とは?
足底腱膜炎の治療についてご紹介します。
まず痛みの状態を把握します。
このように足の指を上にあげ、足の裏を押します。
押した場所の痛みが強い場合は炎症を起こしている可能性があるため、安静やアイシング、マッサージなどを行う必要です。
痛みが減ってきたら徐々にストレッチや運動を始めましょう。
ふくらはぎのストレッチとは?
まずはふくらはぎである下腿三頭筋のストレッチを行います。
俗にいう“アキレス腱伸ばし”を行いましょう。
ストレッチ時間は20〜30秒程度を持続的に行います。
ストレッチの強さは痛気持ちい程度で行いましょう。
アキレス腱や下腿三頭筋のストレッチ方法や構造についてこちらでご紹介しています。
アキレス腱断裂についてもご紹介しているため、ご興味がある方はご覧ください。
足の指のトレーニングとは?
次に足の指の筋力トレーニングを行いましょう。
足趾の筋力トレーニングにはタオルギャザーが効果的です。
タオルギャザーはタオルを足の指で引き寄せるトレーニング方法です。
詳しいやり方や注意点については以前こちらでご紹介しています。
タオルギャザーの方法はこちらでご確認下さい。
次に立った状態で指の筋力トレーニングも行います。
方法はつま先立ちを行います。
このようにつま先立ちを行うと下腿三頭筋の筋力トレーニングになります。
しかしこのように行うと足の指がそった状態となり足底腱膜が張ってしまいます。
また足の指の筋肉である長母趾屈筋や長趾屈筋の働きが低下し、下腿三頭筋の働きが中心になります。
足の指の力を鍛えるには下腿三頭筋の働きを抑えなければなりません。
そのため、かかとを上げる高さを低くすることがポイントです。
そうすることで下腿三頭筋の働きが抑えられ、長母趾屈筋や長趾屈筋が働きやすくなります。
比べてみるとふくらはぎの膨らみが違うことがわかると思います。
かかとを上げる高さは1〜2㎝程度とし行いましょう。
この他には足底板を入れたり装具などを使用することもありますが、これは理学療法士でないと行えないため病院等での対応になります。
足の指の筋肉についてはこちらで詳しくご紹介しています。
知識を深めたい方はこちらもご覧ください。
まとめ
寝起きや歩き始め、走り始めの足裏の痛みは足底腱膜炎の可能性があります。
足底腱膜炎は放っておいても治りません。
しっかりとストレッチをしたり、足の指の筋力トレーニングを行う必要があります。
ストレッチやマッサージは実施直後に効果はでやすいですが、筋力に関しては数週間継続して行わないと効果がわかりづらいです。
そのためまずは1〜2周間続けてみて下さい。
足の裏が痛い方はストレッチや筋力トレーニングを一度試してみてはいかがでしょうか?
参考・引用文献
1)草木雄二ら:足底筋膜炎に対する的確・迅速な臨床推論のポイント.理学療法28(1).265-270.2011
2)吉田昌平ら:足関節・足部の機能解剖学的理解のポイント.理学療法.31(2).131-143.2014
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