【最先端】中殿筋の効果的なトレーニング法の5つのポイントをご紹介します。
中殿筋は股関節を安定させる非常に重要な筋肉です。
痛みを緩和させたり、歩行を安定させるには中殿筋を鍛えることがポイントとなります。
中殿筋といえば股関節の中で一番重要と言ってもいいほど、大切な筋肉です。
それでは必ず知っておくべき中殿筋の機能やトレーニングにご説明します。
中殿筋(中臀筋)とは?
中殿筋は股関節を安定させる重要な筋肉です。
まずイラストでみてみましょう。
このように中殿筋は骨盤から大腿骨へついています。
中殿筋の主な働きは、股関節の外転であり、足を外に開く動きになります。
もう少し詳しくご説明していきます。
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~中殿筋の詳しい解剖~
[icon image=”check3-b”]起始:腸骨殿筋面
[icon image=”check3-b”]付着:大転子
[icon image=”check3-b”]神経:上殿神経
[icon image=”check3-b”]作用:前部線維⇒股関節外転・屈曲・内旋
後部線維⇒股関節外転・伸展・外旋
[/box]
中殿筋は前側と後側に分かれ、それぞれ前部線維と後部線維といいます。
中殿筋の前部線維や後部線維は、股関節外転運動に加え回旋などの動きも加わります。
[colored_bg color=”light green” corner=”r”]前部線維:股関節外転・屈曲・内旋
後部線維:股関節外転・伸展・外旋
[/colored_bg]このように同じ中殿筋でも、筋肉の働く部位によって関節の動きが変わります。
重要なのは中殿筋の中でも後部線維です。
後部線維は歩行など体重がかかったときに股関節を安定させる重要な働きをします。
[icon image=”finger1-b”]ポイント1
中殿筋の後側(後部線維)の働きが重要
中殿筋の筋力低下が起こるとどうなる?
中殿筋に筋力低下が起こるとどうなるのでしょうか。
中殿筋の筋力低下による有名な症状が、“トレンデレンブルグ歩行”や“デュシェンヌ歩行”です。
トレンデレンブルグ徴候
中殿筋の筋力低下で有名な現象の一つにトレンデレンブルグ歩行があります。
トレンデレンブルグ歩行は、足をついて体重を乗せた時に、中殿筋が筋力低下していることで股関節が安定せず、反対側の骨盤が下にさがってしまう状態です。
股関節の手術後でみられる現象の一つです。
デュシェンヌ徴候
もう一つ有名な現象がデュシェンヌ徴候です。
中殿筋の筋力低下を補うために体幹を患側へ倒し重心の位置を移動させ、中殿筋の力をあまり必要としないようにすることです。
このように中殿筋の筋力低下により股関節が不安定となり、骨盤や体幹の動きが大きくなります。
これが長期間続くことでなどにつながってしまいます。
中殿筋の筋力低下が起こりやすい疾患とは?
股関節疾患を中心に、中殿筋の筋力低下がみられます。
女性に多い変形性股関節症や人工股関節、高齢者に多い大腿骨頸部骨折などです。
このように中殿筋の筋力低下が起こっていると、なぜよくないのでしょうか。
中殿筋の筋力低下の影響とは?
中殿筋の筋力が低下していることで、カラダにはさまざまな悪影響がおよびます。
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〜中殿筋筋力低下の影響〜
[icon image=”check3-b”]トレンデレンブルグ徴候やデュシェンヌ徴候
[icon image=”check3-b”]他関節への負担の増加
[icon image=”check3-b”]人工関節への負担
[/box]
中殿筋の筋力低下が起こることで股関節が安定せず、他の関節へ影響を及ぼし負担や痛みにつながります。
トレンデレンブルグ徴候やデュシェンヌ徴候など、骨盤や体幹の動きが大きくなるため、長期間そのような状態が起こることで腰や膝にも負担が蓄積され痛みや傷害へつながってしまいます。
次に人工関節への負担についてです。
人工関節はその名の通り人工物のため、傷みや破損が起こる可能性があります。
仮に破損してしまうと手術で交換をしなければなりません。
そのため人工関節への負担は最小限にとどめておくことが重要となります。
しかしトレンデレンブルグ徴候やデュシェンヌ徴候など、股関節が安定しない状態で歩行を続けると、人工物に負担がかかり破損する恐れもあります。
こうならないためにも、中殿筋をしっかりとトレーニングしておくことがポイントです。
[icon image=”finger1-b”]ポイント2
中殿筋を鍛え、人工股関節に負担がかからないようにすることが重要〜
中殿筋の効果的なトレーニング方法とは?
それでは中殿筋の効果的なトレーニング方法をご紹介します。
ポイントは中殿筋の後部線維をしっかりと使うことです。
中殿筋を効率よく働かせるには
股関節の外転運動させる筋肉は中殿筋以外に大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)があります。
大腿筋膜張筋はこの筋肉です。
〜大腿筋膜張筋の解剖〜 [icon image=”check3-b”]起始:腸骨稜,上前腸骨棘,大腿筋膜 [icon image=”check3-b”]付着:腸脛靭帯 [icon image=”check3-b”]神経:上殿神経 [icon image=”check3-b”]作用:股関節外転,内旋
股関節の外転運動をする際に、大腿筋膜張筋ではなく中殿筋を集中的にトレーニングすることがポイントです。
そのためには、まず大腿筋膜張筋のマッサージをして筋肉を緩めておくことがポイントです。
大腿筋膜張筋を緩めておくことで、外転運動をした際の大腿筋膜張筋の活動が減り、中殿筋が集中的に使われやすくなります。
[icon image=”finger1-b”]ポイント3
大腿筋膜張筋をマッサージし、リラックスさせておく
中殿筋の鍛え方とは?
中殿筋のトレーニング方法として、基本的に横向きで寝た状態で行います。
なかには仰向けでのやり方を紹介しているサイトもありますが、このやり方ではほぼ効果ゼロです。
仰向けで行うと中殿筋ではなく、大腿直筋や大腿筋膜張筋といった違う筋肉が使われやすくなります。
効率よくトレーニングするためには、しっかりと中殿筋が働きやすい状態にして行うことが重要です。
横向きで外転運動ができない方は、仰向けではなくうつ伏せで外転運動を行いましょう。
仰向けよりうつ伏せの方が中殿筋をしっかりと鍛えることができます。
中殿筋の中でも後部線維を効率よくトレーニングするにはどうすればいいのでしょうか。
[icon image=”finger1-b”]ポイント4
中殿筋は横向き or うつ伏せで鍛える
中殿筋の後部線維の鍛え方とは?
股関節外転運動を行うにも、足を前側に出して開くのか、足を後ろに引いて開くのかで大きく変わります。
前側で足を開くと、中殿筋の前側(前部線維)や大腿筋膜張筋が優先的に働きます。
これに対し足を後ろに引き開くことで、中殿筋の後側(後部線維)が優先的に働くようになります。
このように中殿筋の中でも後部線維を選択的にトレーニングすることが重要で、後部線維の働きは股関節外転・伸展・外旋です。
[icon image=”finger1-b”]ポイント5
中殿筋の後部線維は足を後ろに引いて開く
まとめ
今回は中殿筋の効果的なトレーニング方法についてご紹介しました。
中殿筋のポイントは、しっかりと中殿筋の後部線維を鍛えることです。
中殿筋の筋力低下があると、カラダのトラブルにつながるため、しっかりとトレーニングしましょうね。
引用・参考文献
1)月城慶一ら:観察による歩行分析.P150-151医学書院.2005
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この動き、とても大事でした(現在進行形)。
数週間以上さぼってました。
骨折側のお尻が痛いので「ひょっとしたら」と思い自主トレで再度とりくんでいます。
結果、痛みが緩和されています。
ギクシャクした歩き方の原因の1つと思わされています。
こちらのサイトに行きついて良かった。
とても嬉しいコメントをいただきありがとうございますm(_ _)m
中殿筋はとても重要な筋肉で、歩行の安定性などでポイントとなる筋肉です。
足関節の骨折後は、しばらく足に体重をかけらない期間があるケースが多いです。
足に体重をかけないことで、股関節周りの筋力低下が起こります。
特に中殿筋などの股関節を安定させる重要な筋肉に筋力低下が生じることで、リハビリで歩行練習が開始になったときに痛みが生じたり、歩行が安定しなかったりと様々な問題が生じます。
そのため、股関節周囲に筋肉、特に中殿筋や大殿筋の筋力トレーニングは手術後からしっかりと行っていくことが重要です。
また何か不明点などがございましたら、ご遠慮なくご連絡くださいね!