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杖の基本的な正しい使い方とは?! 杖の高さ調整、安全な杖の持ち方をご紹介!

みなさんは杖の正しい使い方を知っていますか?

多くの方は、杖は体重を支えるものと思っているのではないでしょうか。

実は杖は体重をかけ支えるものではありません。

杖を正しく使えば歩く際の安定性は良くなりますが、間違った使い方をすると転ぶ可能性があります。

今回は杖の使用目的正しい杖の使い方握り方杖の高さ調整についてご紹介します。

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杖をつく本当の目的とは?

 

杖は体重を支えるものだと思っている方は多いのではないでしょうか?

 

実は杖は体重を支えるためのものではありません。

 

杖をつくことで歩行は安定します。

 

なぜ安定するかというと、杖をつくことで支えている面積が増えるためです。

 

杖で体重を支えているのではなく、支えている面積が広くなることで安定します。

 

この面のことを支持基底面といいます。 

 

では、杖をつくことでなぜ支えている面積が増え安定するのかご説明します。

  

〜杖なしの場合〜

この図は立った状態の足です。

 

 

スライド01

 

 

この図に支持基底面を書いてみます。

両足の2点で囲んだ部分が支持基底面といい、安定している面積です。

 

スライド03

 

 

〜杖ありの場合〜

両足での支持基底面に加え、杖の1点が加わることで計3点を囲んだ部分が支持基底面となり、安定した面積となります。

 

スライド06

 

この面積の大きさでわかるように、支持する点が多いほど支持基底面が大きくなり安定します。

 

このように杖を持つ理由として杖に体重をかけ支えるのではなく、この支持基底面を広げるために使用します。

 

杖を持つのは右手?左手?

 

杖はどっちの手に持つのが正しいか知っていますか?

 

「良い方の足側に杖を持つのか」 または 「悪い方の足に杖を持つのか」 

どっちが正しいと思いますか?

 

正解は良い方の足側に持つのが正解です。

 

悪い方の足側に杖を持つものだと思っていた方もいるのではないでしょうか?

 

ドラマでも悪い方に杖を持って歩いているシーンが流れることがありますし、悪い足側に持った方が効果がありそうな感じがします。

 

しかし先ほどご説明した杖の使用目的や歩く際の手足の動き方を考えると、良い方の足側に杖を持った方が良いのが理解できると思います。

 

杖の持つ側に関しては、右手・左手で考えるのではなく、良い側・悪い側で考え杖を持ちましょう。

 

それでは解説していきましょう。

  

なぜ杖は良い方の足側で持つ方がいいの?

 

普段、みなさんはこのように歩いていると思います。

 Print

 

 

右足を出した場合、手は左手が前に出ます。

逆に左足を出した場合、手は右手が前に出ます。

 

杖を持つ時、この自然な歩き方は変えずにただ杖を持つだけです。

 

そのため、杖を持った側の足と杖が一緒に前に出ることはありません。

 

杖を良い方の足側に持つ理由として、先ほどご説明したように支持基底面を広くした方が安定するためです。

 

悪い方の足側に杖を持つと、支持基底面が狭くなり安定性が低下します。

 

では図で見てみましょう。

 

青:悪い足側に杖を持った場合   緑:良い足側に杖を持った場合

 スライド07

 

 

これを別々にして見てみましょう。

 

〜青:悪い足側に杖を持った場合〜

スライド10

 

 

 

〜緑:良い足側に杖を持った場合〜

スライド09

 

 

では、この二つを合わせて見てみましょう。

スライド08

 

この斜線の面積が支持基底面です。

 

この面積が広いほど安定します。

 

悪い足と杖で体重を支える場合、緑の方が支持基底面が広く安定することがわかります。

 

緑ということは、杖は良い方の足側に持つ方が安定するということです。

 

良い方の足側に杖を持つのが基本となります。

 

杖の正しい握り方とは?

 

杖はどのように持っていますか?

 

杖には正しい握り方というものがあります。

このように人差し指を一本前に出して握るのが正しい握り方です。

 IMG_3906

 

 

このように握るのは間違っているため注意しましょう。

 IMG_3908

 

 

杖の高さ調整とは?

 

杖の高さは非常に重要なポイントの一つです。

 

杖の高さによって歩きやすさや転倒にリスクにも大きく関わってきます。

 

杖の高さを調整する時のポイントは3つあります。

①杖の位置はつま先より15㎝前・15㎝外側

②肘の角度は約30度曲げた状態

③杖の高さは『大腿骨の付け根の出っぱった所の骨(大転子)』もしくは『手首の高さ』

 

イラストを見てみましょう。

杖設定

                                引用1)

杖を持った姿勢はこのようになります。

 

杖の高さは『大腿骨の付け根の出っぱった所の骨(大転子)』もしくは『手首の高さ』に合わせます。

杖の高さ

                                            引用1)

これに合わせると、だいたい肘は約30°程度曲がった状態になります。

 

なぜ約30°曲げた方が良いかというと、もっとも腕に力が入りやすいポジションだからです。

 

まとめ

 

杖は体重を支えるためのものではありません。

 

杖を持つ理由として杖に体重をかけ支えるのではなく、安定した面積である支持基底面を広げるために使用します。

 

杖を持つのは基本的に良い方の足側になります。

 

杖の握り方の基本は、人差し指を一本前に出して握るのが正しい握り方です。

 

杖の高さを調整する時のポイントは3つあります。

①杖の位置はつま先より15㎝前・15㎝外側

②肘の角度は約30度曲げた状態

③杖の高さは『大腿骨の付け根の出っぱった所の骨(大転子)』もしくは『手首の高さ』

 

今回は杖の正しい持ち方についてご紹介してきました。

杖を間違って使うことで転倒する可能性があるため、今回ご紹介したように正しく杖を持つようにしましょう。

 

杖の使い方ひとつで“転ぶか”“転ばないか”明暗が分かれます

 

転ばないためにも、杖は良い方の足側で持つようにしましょうね!

 

引用・参考文献

1)田中義行:第10回 重要なのは歩行前のお膳立て.おはよう21 25(11).54-57,2014

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